37.家族になりたい

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(ん? 俺、いま何かまずいこと言ったか?) 「もしや大葉(たいよう)夏乃(なつの)トマトのWebページをチェックしてたりするのですかっ!?」  羽理(うり)の言葉に、大葉(たいよう)は何のことだか分からなくてキョトンとする。 「なつのトマト?」 (――誰だ、それは!) ***  このところ大葉(たいよう)と色々ありすぎて、小説投稿サイト皆星(みなほし)で連載中の『あ〜ん、課長っ♥ こんなところでそんなっ♥』の掲載が隔日投稿になってしまっている。  どうやって書く時間を確保しよう? とか……大葉(たいよう)と同棲したらもっと書けなくなるのかな? とか心配していた羽理(うり)は、そんな悩み事を大葉(たいよう)に告げた覚えなんてなかったのに、いきなり執筆のことを気遣われてドキッとした。  以前、大葉(たいよう)からの追求に負けてポロリ。趣味で小説を書いていることは白状してしまっていた羽理だけれど、作品の詳細(ジャンル)までは何とか(ギリ)告白して(ゲロって)いない。 (私、憧れの倍相(ばいしょう)課長をモデルにした作品を書いてるのは話したけど、それがエッチなオフィスラブものだ、とまでは言ってない……よね!?)  でも――。 「もしや大葉(たいよう)夏乃(なつの)トマトのWebページをチェックしてたりするのですかっ!?」  ひょっとして大葉(たいよう)は、毎日更新だった連載作品がそうではなくなってしまったことを〝一読者として〟知っている――?  そんな不安にかられてソワソワした視線を大葉(たいよう)へ向けたら、キョトンとされてしまった。  オマケに「夏乃トマト?」と、仲良しの法忍(ほうにん)仁子(じんこ)にすら教えていないペンネームを告げられた羽理は、「なっ、何でその名前を知ってるんですか!」と叫んで、大葉(たいよう)に「いや、たった今お前が言ったんだぞ?」と呆れられてしまう。 「はぅっ」  その言葉に羽理はハクハクと口を開いたり閉じたりするしかできなくて、キュウリちゃんを抱いたままの大葉(たいよう)に、「大丈夫か?」と心配されてしまった。 ***
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