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(ん? 俺、いま何かまずいこと言ったか?)
「もしや大葉、夏乃トマトのWebページをチェックしてたりするのですかっ!?」
羽理の言葉に、大葉は何のことだか分からなくてキョトンとする。
「なつのトマト?」
(――誰だ、それは!)
***
このところ大葉と色々ありすぎて、小説投稿サイト皆星で連載中の『あ〜ん、課長っ♥ こんなところでそんなっ♥』の掲載が隔日投稿になってしまっている。
どうやって書く時間を確保しよう? とか……大葉と同棲したらもっと書けなくなるのかな? とか心配していた羽理は、そんな悩み事を大葉に告げた覚えなんてなかったのに、いきなり執筆のことを気遣われてドキッとした。
以前、大葉からの追求に負けてポロリ。趣味で小説を書いていることは白状してしまっていた羽理だけれど、作品の詳細までは何とか告白していない。
(私、憧れの倍相課長をモデルにした作品を書いてるのは話したけど、それがエッチなオフィスラブものだ、とまでは言ってない……よね!?)
でも――。
「もしや大葉、夏乃トマトのWebページをチェックしてたりするのですかっ!?」
ひょっとして大葉は、毎日更新だった連載作品がそうではなくなってしまったことを〝一読者として〟知っている――?
そんな不安にかられてソワソワした視線を大葉へ向けたら、キョトンとされてしまった。
オマケに「夏乃トマト?」と、仲良しの法忍仁子にすら教えていないペンネームを告げられた羽理は、「なっ、何でその名前を知ってるんですか!」と叫んで、大葉に「いや、たった今お前が言ったんだぞ?」と呆れられてしまう。
「はぅっ」
その言葉に羽理はハクハクと口を開いたり閉じたりするしかできなくて、キュウリちゃんを抱いたままの大葉に、「大丈夫か?」と心配されてしまった。
***
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