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『――お前、全然ヤらせてくんねぇんだもん』
付き合い始めて三ヶ月目の記念日。
サプライズで連絡せずに遊びに行った彼氏の家。
渡されていた合鍵で彼の部屋へ入った羽理は、彼氏と見知らぬ若い女性が裸で睦み合うシーンを見せ付けられてしまった。
余りのことに呆然と立ち尽くす羽理に気付いた彼氏が、悪びれもせずに舌打ちしながら言ったのが先のセリフだ。
羽理は持っていた合鍵を彼氏に投げつけて、泣きながら部屋を飛び出して、それっきり。
羽理のアパートの合鍵が、なんの釈明もないままにポストへ入れられていたことで、二人の関係は呆気なく終わってしまったのだけれど。
以来、今日に至るまで、羽理はご縁に恵まれないままに二十五歳まできてしまった。
大学を卒業して社会人になった時、過去の過ちを踏まえてお互いに結婚の意思があるならば、肉体関係を拒んだりしない!と心に誓ったと言うのに。
人生なかなかにうまくいかない。
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