6.気になって仕方がない

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(こいつが家にエプロン姿で、とか……悪くないかも知れん!とか……断じて思ってないからな!)  それで照れ隠し。 「こ、今夜は風呂なんぞ入らずそのまま寝ろ!」  つっけんどんにそう言い放ったら、荒木(あらき)から盛大なブーイングを喰らってしまう。 「えぇぇー? ()れすよぅ。ベタベタして気持ち(わりゅ)いのにぃ」 「明日早起きして入れば問題ない」 「ぶちょぉは髪の毛短いかりゃ分かんにゃいかも知んないれしゅけろぉ、長い髪は(にゅ)らしゅとなかなか乾かないんれしゅよぉ? (あしゃ)からドライヤーとか面倒(めんど)っちぃじゃないれすか」  そんなことをしていたら遅刻しかねないとぷぅっと唇を膨らませる荒木を横目に、大葉(たいよう)は(可愛い顔はやめろ)と心の中でつぶやいて、溜め息を落とす。 「どうしても今から入るとか()かすんなら俺が洗うぞ!? 良いのか!?」  わざとガシッと両肩を掴んで真顔で言ったら、さすがに酔っ払い娘もヤバイと思ったのか、「ひっ」とつぶやいて「き、着替えて寝ましゅ」と約束してくれた。  大葉(たいよう)は、なかなか手にした鍵が鍵穴へ刺せずにモダモダする荒木の覚束ない手元に苛立って鍵を奪うと、ガチャッと開けて彼女を支えたまま中へ入った。 「……合鍵はないのか」  靴を脱ぐのも怪しい荒木へそう声を掛けると、「何れれすか?」と至極まともな答えが返って来て。 「お前が向こうへ行くのを見届けたら、鍵を確実に閉めて帰るために決まってるだろ、馬鹿者め」  自分でも結構強引なことを言っているという自覚はある大葉(たいよう)だけど、酔った荒木は気付いていないらしい。
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