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恋愛に対する憧れは人並み以上にある羽理は、その寂しさをまぎらわせたくて趣味の創作活動にのめり込んでいった。
でも、だからと言って……もちろん現実の、心弾むような恋の始まり自体を諦めているわけではない。
それなのに!
続々と同級生たちから結婚報告が届いては焦りを感じる毎日の中で、恋のときめきをすっ飛ばしたこの破廉恥な展開は、あんまりではないか――。
(かっ、神様っ! 私、何か悪いことをしましたかねっ⁉︎)
別に信心深い方ではないけれど、だからと言って神様を蔑ろにした覚えもない。
(先日だって私、そこの神社の夏祭りに貢献しましたよ⁉︎)
別に主催者側としてお手伝いをしたとか、巫女さんをしたとか言うわけではないけれど、お祭りに出向いて買い食いしたりして楽しんだのだって、立派な〝献金〟だと思う!
とは言え賽銭箱に金銭を奉ったわけじゃないから。
(神様の懐にお金が入ったかどうかまでは分かんないですけどっ)
真っ裸のまま。
ちょっぴり吊り気味のアーモンドアイを白黒させながら、物凄いスピードで自問自答する羽理の声にならない不平不満に、どこかで「ニャァー」と猫の声が応えた……気がした。
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