7.今夜は泊まって行け

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 手を掴まえて荒木(あらき)羽理(うり)の頭上で一纏(ひとまと)めに束ねたら、彼女に被せたバスタオルがはらりと二人の足元へ落ちた……。  そうしてまろび出た、決して大ぶりではないけれど形の良い、それこそ大葉(たいよう)好みの荒木の胸がツンと天を突いて揺れるから。  大葉(たいよう)は吸い寄せられるようにそこへ手を伸ばした――。  そんな(みだ)らな想像をしてしまった大葉(たいよう)は、フルフルと首を振って危険な妄想を払いのけた。 「わらし、(おろこ)(ひろ)のココ、(しゃわ)ったの初めれれす」  ――感動しましらっ!とわけの分からない感想を述べている荒木を見下ろしながら、大葉(たいよう)は〝初めて〟と言うところにピクンと反応する。 「荒木(あらき)。お前、彼氏、いたんじゃなかったのか」 「居ましらけろ……。恋人(こいびろ)の居ら人間が(みんにゃ)自分みらいにエッチしらころあるろ思うなよぉ、屋久蓑(やくみにょ)大葉(たいよぉー)」  腕の中の荒木が、キッと大葉(たいよう)を睨んでくるのがたまらなく愛しくて。 (そうか。経験ないのか……)  やけにホッとしてしまったと言ったら、彼女をますます怒らせてしまいそうで、大葉(たいよう)は声に出さずにその事実を噛みしめた。 「とりあえず、タオルを身体に巻け。頭は俺が拭いてやる」 「もしてくれましゅか?」 「ああ、してやる」 「やったぁー。屋久蓑(やくみにょ)部長(ぶちょぉ)大好(らいしゅ)きれしゅ~♥」  酔っぱらいの言うことなんて宛てにはならないけれど……。  悪くないと思っている相手に〝大好き〟だと言われた大葉(たいよう)は、こういうのもいいなと思って。  自分の頭もまだ適当にしか拭けていないけれど、腕の中の荒木羽理のことをとことん甘やかしてやろうと思った。
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