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「う、キュウリ、ここは危ない……から、向こうへ行っておきま……おきなさい」
思わずいつも通り。『ウリちゃん、ここは危ないでちゅから向こうへ行っておきまちょうね』なんて話しかけそうになるのを必死にこらえた。
「ぶちょ? ひょっろしれ緊張しれましゅか?」
(ああ、色々とな!)
荒木羽理の言葉に即座に心の中でそう返した途端、
「ホント、可愛いんらからぁ♥」
ヘラリと笑われて「か、かわっ!?」と反応せずにはいられない。
(お、俺はっ。お前にだけは可愛いと言われるよりかっこいいと思われたい!)
むしろ可愛いのは彼女の方なのだ。
無理矢理手を引かれて座らされた椅子の上。
荒木にほわほわと頭へ触れられながら、大葉はそんなことを思った……のだが。
「わ、熱い、熱い! バカ! 荒木、やっぱ自分でやる! 貸せ!」
酔った荒木にドライヤーを渡したのは間違いだった。
同じところにブォォォォと当てられ続ける熱風に、危うく火傷しそうになった大葉は、ガッと立ち上って荒木の手からドライヤーを奪い返したのだが……。
それと同時、ハラリと彼女のタオルが外れて。
(んっ? やわらかっ……)
「やぁんっ! 屋久蓑ぶちょぉのえっちぃ」
はずみで荒木の胸をギュッと掴んでしまった大葉は、酔っぱらった彼女にペチッと力のこもらないビンタをされた。
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