7.今夜は泊まって行け

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「う、キュウリ、ここは危ない……から、向こうへ行っておきま……おきなさい」  思わずいつも通り。『ウリちゃん、ここは危ないでちゅから向こうへ行っておきまちょうね』なんて話しかけそうになるのを必死にこらえた。 「ぶちょ? ひょっろしれ緊張しれましゅか?」 (ああ、色々とな!)  荒木(あらき)羽理(うり)の言葉に即座に心の中でそう返した途端、 「ホント、可愛いんらからぁ♥」  ヘラリと笑われて「か、かわっ!?」と反応せずにはいられない。 (お、俺はっ。お前にだけは可愛いと言われるよりかっこいいと思われたい!)  むしろ可愛いのは彼女の方なのだ。  無理矢理手を引かれて座らされた椅子の上。  荒木にほわほわと頭へ触れられながら、大葉(たいよう)はそんなことを思った……のだが。 「わ、熱い、熱い! バカ! 荒木(あらき)、やっぱ自分でやる! 貸せ!」  酔った荒木にドライヤーを渡したのは間違いだった。  同じところにブォォォォと当てられ続ける熱風に、危うく火傷(やけど)しそうになった大葉(たいよう)は、ガッと立ち上って荒木の手からドライヤーを奪い返したのだが……。  それと同時、ハラリと彼女のタオルが外れて。 (んっ? やわらかっ……) 「やぁんっ! 屋久蓑(やくみにょ)ぶちょぉのえっちぃ」  はずみで荒木の胸をギュッと掴んでしまった大葉(たいよう)は、酔っぱらった彼女にペチッと力のこもらないビンタをされた。
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