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(何でこんなお仕事に行くみたいな格好してるんですかね、私!)
自分がそれを用意したからに他ならないのだが、羽理はそんな不満まで抱えてしまった。
だが――。
「そ、それは……つまりっ。う、うちに泊まりたいってことでいいんだな?」
やけにしどろもどろで屋久蓑部長がそんなことを言ってくるから、何のことでしょうね?と思ってしまって。
「ほぇ?」
間の抜けた声を出したら「ダラッと出来る格好になれたら、そのまま横になりたいんだろ? 違うのか?」と畳みかけられた。
「ちっ、違いましゅよぅ。何エッチな展開に持っれいこうろしてるんれすか。ご立派しゃんめ……」
「ご、ごりっ!? 馬鹿! お、お前の方がよっぽどエロいじゃねぇか!」
「失礼れしゅね。ギンギンになってりゅの、見せつけれきたくしぇに」
「見せつけてねぇわ!」
シンプルなルームウェアさえもオシャレに着こなしたハンサムさんが、何やら必死に言い訳をしているけれど、羽理の頭の中は先ほど下からまともに見上げてしまった彼の股間を思い出していて、そんなの聞いていなかった。
ほぅ、と吐息を落としながら羽理は思う。
(……部長の部長。猛々しくて……すっごく男らしかった……!)
今なら知らなかった頃より断然っ! そういう描写がリアルに書けそうな気がして…。
書きたい気持ちが胸の奥で燻り始めてしまう。
「ビッグマグニャム……」
そう。いま書くなら課長の話じゃなくて絶対そっちだ。
口の中で転がすみたいにポツンと小さくつぶやいたら、よく聞えなかったんだろう。
屋久蓑大葉が、「は?」と聞き返してきた。
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