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「あっ。れも……お昼ご飯とか買うお金がないれす」
「朝飯も弁当も俺が作ってやろう」
「ホントれすかっ!?」
「ああ……」
***
食事の話を出した途端、前のめりになった荒木羽理を見て、大葉はあと一押しだ!と意気込んだ。
「俺が作るもんは結構美味いと家族からも評判だぞ?」
「卵焼きは……甘いにょにしれくれましゅか?」
「ああ、お安い御用だ。ついでに無一文は不安だろうから小遣いも付けてやろう」
実は大葉自身は、塩辛い卵焼きが好きなのだが、荒木が甘いのを入れて欲しいと言うのなら、いくらでもそちらに合わせてやろうじゃないかと思う。
「きゃー。至れり尽くせりなのれすっ。……んー、じゃあ、わらし、今日はこのままぶちょおのお家にお泊りしちゃいましゅ」
(よっしゃぁぁぁぁ!)
荒木の言葉に心の中で盛大に両腕を振り上げてガッツポーズをした大葉だったが、一生懸命頑張って顔に出すのだけはこらえた。
なのに――。
「ぶちょ? もう一つお願いがありゅのれす」
荒木が、自分の服をちょいちょいっと引っ張りながら、「こにょ服れはゆっくり休めしょうにありましぇん。迷惑ついでに、ぶちょぉの服、貸して欲しいのれす」と上目遣いで見上げてきたからたまらない。
(そんなの、OKに決まっているじゃないかっ!)
何ならどうやって彼シャツ(厳密にはまだ彼氏ではないがっ!)という男のロマンを達成しようかと脳内で模索していたくらいだ。
「も、もちろん、構わん……。ただ」
「たりゃ?」
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