7.今夜は泊まって行け

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「さすがにお前に合うサイズのズボンはないぞ?」 「ああ、しょれなら大丈夫(らいじょぉぶ)れしゅ。わらし、いつも家れはダボダボのTシャチュにパンチュれすのれ」  ヘラリと笑った荒木(あらき)を見て、大葉(たいよう)は「お前の危機管理能力はどうなってるんだ!」とプンスカしながらも、内心ウハウハだった。 「よし、じゃぁなるべく丈が長めのやつを見繕(みつくろ)って来てやろう。――ちょっとここで待ってろな?」  未だゆらりゆらりと身体を揺らす荒木をソファに座らせてくるりと(きびす)を返すと同時、今まで彼女から距離を取って遠巻きに主人のことを見守っていたキュウリがテトテトと後ろをついてきた。 「うっ……」  キュウリから純粋無垢(じゅんすいむく)(まぁる)い瞳で見上げられて、大葉(たいよう)は(ウリちゃん、パパをそんな目で見詰めないで!)と(やま)しさと闘う羽目になる。  大葉(たいよう)はタンスの中をガサガサとかき回しながら、(パパは白を選んで色々()けて見えるのとか期待してたりしてないでちゅからね!?)と、足元のキュウリに心の中で懸命に言い訳しながら、黒いTシャツを引っ張り出した。  少し残念だが、これで股間は大丈夫!のはずだ。  だが、自分が差し出したTシャツに着替えてきた荒木羽理を見た大葉(たいよう)は、思わず「あ……」とつぶやいてしまう。  何故なら……。  彼女に貸し与えたTシャツの腹には、ご飯の器を前にヨダレを垂らしている可愛い犬の絵のイラストとともに、『ガマンの限界』という文言(もんごん)が添えられていたからだ。 「にゃんかお(にゃか)に可愛い絵が(きゃ)いてありましゅねぇー」  荒木が腹の辺りを引っ張って「えへへ」と笑うから、(すそ)が引き上げられて太ももが盛大に見えてしまう。  そんな無自覚爆弾な荒木に吐息まじり。 (……そろそろ俺のマテも限界だぞ、荒木(あらき)羽理(うり)……!)  大葉(たいよう)が彼女の生足に釘付けになりながら、そんなことを思ったのは言うまでもない。
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