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「さすがにお前に合うサイズのズボンはないぞ?」
「ああ、しょれなら大丈夫れしゅ。わらし、いつも家れはダボダボのTシャチュにパンチュれすのれ」
ヘラリと笑った荒木を見て、大葉は「お前の危機管理能力はどうなってるんだ!」とプンスカしながらも、内心ウハウハだった。
「よし、じゃぁなるべく丈が長めのやつを見繕って来てやろう。――ちょっとここで待ってろな?」
未だゆらりゆらりと身体を揺らす荒木をソファに座らせてくるりと踵を返すと同時、今まで彼女から距離を取って遠巻きに主人のことを見守っていたキュウリがテトテトと後ろをついてきた。
「うっ……」
キュウリから純粋無垢な丸い瞳で見上げられて、大葉は(ウリちゃん、パパをそんな目で見詰めないで!)と疚しさと闘う羽目になる。
大葉はタンスの中をガサガサとかき回しながら、(パパは白を選んで色々透けて見えるのとか期待してたりしてないでちゅからね!?)と、足元のキュウリに心の中で懸命に言い訳しながら、しぶしぶ黒いTシャツを引っ張り出した。
少し残念だが、これで股間は大丈夫!のはずだ。
だが、自分が差し出した透けないTシャツに着替えてきた荒木羽理を見た大葉は、思わず「あ……」とつぶやいてしまう。
何故なら……。
彼女に貸し与えたTシャツの腹には、ご飯の器を前にヨダレを垂らしている可愛い犬の絵のイラストとともに、『ガマンの限界』という文言が添えられていたからだ。
「にゃんかお腹に可愛い絵が描いてありましゅねぇー」
荒木が腹の辺りを引っ張って「えへへ」と笑うから、裾が引き上げられて太ももが盛大に見えてしまう。
そんな無自覚爆弾な荒木に吐息まじり。
(……そろそろ俺のマテも限界だぞ、荒木羽理……!)
大葉が彼女の生足に釘付けになりながら、そんなことを思ったのは言うまでもない。
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