2006人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
そう。
ユラユラ揺れる荒木羽理と二人。
洗面所で二人並んで歯磨きをしたのはついさっきのこと――。
あの時、荒木が使い終わった歯ブラシを何気ない素振りで手を出して回収した大葉は、それを見詰めながら密かに思ったのだ。
(持って帰って使えって言うのが正解なのかも知れん。……けど、また同じようなことがあったら面倒だからな。あくまでも未来に備えてだっ!)
――何度も新しい歯ブラシを出す羽目になったら敵わんからな、とか何とかもっともらしい言い訳をしつつ。
荒木のためにと新しく出した歯ブラシを、とりあえず自分の歯ブラシと並べてコップに立ててみたら、何だか同棲しているみたいでいいな♪とか、浮足立ってしまった……なんてことは、断じてない。
荒木の方はぼんやりしているからか、使い終わった歯ブラシの行方になんて興味がないらしい。
「ほりゃ、寝ましゅよ?」
となって、先の会話へと繋がったというわけだ。
最初のコメントを投稿しよう!