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結局大葉は荒木羽理に押し切られる形で彼女と二人、自分のセミダブルベッドで同衾する羽目になってしまった。
荒木の体温を何となぁ~く右側にほこほこと感じながら……落ちない程度に思いっきり左の端っこへ寄っているのだが。
荒木ときたら、「おやしゅみなしゃい」と言って横たわるなり、大葉の「ああ、おやすみ」という返事を聞くか聞かないかのうちにスースーと気持ちのよさそうな寝息を立て始めて、大葉は(マジか!)と思わずにはいられなかった。
慣れない部屋で、荒木が夜中にトイレへ行こうとして転んだりしてはいけないと、シーリングライトをほんのりと薄明りになるよう設定してやったのが仇になって、真っ暗でないと寝付けない大葉の目は冴える一方。
オマケというか、トドメというか。薄闇に眼が馴れてくると、すぐそばで眠る彼女の寝顔がぼんやりと見えてきてしまう始末。
だが――。
(ぶはっ。ホント抜けた顔で寝てるな、コイツ……)
そっと身体を起こして荒木羽理の寝顔を盗み見たら、綺麗な顔をしているくせに、ポカーンと口を開いて寝ていて妙に拍子抜けしてしまった。
(……やっぱり口閉じ忘れたカエルだな、こいつは)
なんて思うくせに、それがたまらなく可愛く見えてしまうのだから重症だ。
ただ、その無邪気な(?)寝顔を見て襲う気になれるか?と聞かれたら少し違うなと思って。
大葉はほんの少しホッとする。
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