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「せっかくだし、これ使って?」
柚子から、L版サイズが二〇枚収納できる、未使用のリス柄フォトアルバムを受け取りながら、羽理は「もしかして写真、これ一杯に頂いちゃってもいいんですか!?」と思わず瞳を輝かせていた。
だって――。
目の前に折り重なるようにして散らばっている写真たちの上の方。
恐らく三、四歳くらいの頃だろう大葉が、真剣な顔をして料理をしている写真があって……羽理は一目でその写真が気に入ったのだ。
パッと見たただけでこのザマ。絶対二〇枚くらいすぐに選べてしまえるだろう。
「もちろんよ? 気に入るの、ありそう?」
「はい! 逆に厳選しなきゃいけなくなりそうで怖いくらいです! とりあえず私、この二枚は絶対欲しいなって思うんですけど……」
左手を猫の手にして子供用包丁を持ったミニ大葉が、物凄く真剣な顔をしてニンジンを輪切りにしている一枚と、ボールを手に泡だて器で卵か何かを混ぜている写真を指さした羽理に、柚子がぱぁっと口元をほころばせた。
「わぁー、懐かしい! たいちゃんってホント小さい頃からお料理大好きだったのよぉ!」
これらは、大葉が生まれて初めてオムライス作りにチャレンジした時の、記念すべき写真らしい。
切る作業に没頭するあまり、唇がムッと突き出されたところがツボなのだと柚子が言って、羽理は同じく「こっちのは集中し過ぎてお口が開いちゃってるのがたまらないんですけど、柚子お義姉さま!」とボールを手にした写真を指さした。
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今回の挿絵の裏話をエッセイに載せています。
https://estar.jp/novels/26236867/viewer?page=10
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