熊さんとの攻防戦

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多田は結局、凛の誘惑に負け二人でベットになだれ込んだ。 二度目だから恥ずかしく無いかと言えばそうでもなくて。 多田の大きな手にひたすら優しく触れられて、凛は愛おしさのやり場に困った。 物理的な刺激に、多田が好きで堪らないと言う気持ちが上乗せされて身の置き所に困るほど反応した。 息が苦しい。 でも気持ちがいい。 「匡平さ、ん…気持ちぃ…」 「…ん」 お腹の奥にこもった気持ちいいが、何かとんでもない事になりそうで息を詰める。 「っ、あ、だめ…まっ…」 小さな気持ちいが弾けるのは経験済みだ。 熱心に触れる多田の努力の賜物である。 だけど、だけど…これは何か違うと、凛の腰が引けて。 痛いのかと、多田が動きを止めて凛を覗き込んだ。 「…大丈夫?」 妙に焦った凛の潤んだ目を見て、多田が瞬きをした。 かっ!と凛が目を見開いて、 「はぁぁ…未知の領域に戦きました…」 「おの…」 予想外の単語を多田が復唱する前に凛がたたみかけた。 「戦きましたっ」 もっと色っぽい囁きを交わす場面なのだが、凛ははしっと覆いかぶさった多田の腕を掴み、興奮気味に力説しする。 「こう、ぐわーっとお腹の奥がムズムズして…エライ事になるところでした…」 「…」 「…っ、?…」 多田がふわりと凛の腹に手を添えた。 手が大きいので、かなりの面積を覆われてしまう。 「…匡平さん?」 照明の淡い光の中で、顔のすぐ前で目を合わせた多田が、ふ、と笑った。 それはそれは優しい顔で。 目を疑うほど、普段の多田には無い満点合格の微笑だった。 「…痛くも、苦しくも、ない?」 「??…はい」 小さく頷いた多田が、く、とその手に力を乗せた。 「っ!」 その後は、待ってもタンマも華麗にスルーした多田に、緩やかに一定のリズムでお腹の奥を刺激された。 ゾワゾワと肌が泡立って、膜をはった気がした。 爪先からあっという間に這い上がった痺れに、自分がどんな顔でどんな声を出して居るのかわからなくなった。 もう無理だと、詰めていた息を大きく吸い込んだら、戻れなくなった。 跳ねる身体を片腕でしっかり抱いてもらって、初めてを受け止めた。 「…っはぁ、…は、はぁっ」 眼鏡を外したぼやけた視界が、滲んだ涙で余計に見にくい…。 どっと体温を上げた凛の汗ばんだ身体を労る様に多田が撫ぜる。 「…めっちゃ、可愛いなぁ?…凛さん」 とろりと、耳に流れ込む多田の甘やかす声。 心と身体が幸せで凛の意識が溶けていく。 (あぁ…また、途中…) 多田がまだ終わっていない、そう思うのにもう目を開けて居られない。 柔らかな多田の手の感触に促されて、凛の瞼はゆっくり閉じていく。 まんまと凛にベットに連れて来られた多田から与えられた初めて。 熊さんとの攻防戦は、熊さんの勝利で幕を閉じたのだった。
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