護る者と、護られる者。

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浅い所で何度も凛を揺らして、大丈夫、ついていけると思うと思い出した様に奥を刺激され。 結局最後まで盛大に乱された。 多田の終わりさえ、凛の限界に合わせて上手く調整されていたと思う。 ただ、両腕が胸の奥深くに押し込むみたいに凛の身体を包んで。 耳元で微かに呻いた多田の声に、心臓がぎゅっとされて幸せだった。 「…凛さん、大丈夫?」 多田が不慣れな凛に合わせていた優しさを、剥ぎ取ってと強請ったのは凛で。 その手前、凛はシーツに突っ伏してコクコクと頷いた。 根本的な体力が違った事を、失念していた。 クタクタだ…。 「……大丈夫ちゃうな…」 多田が、ふと笑って汗ばむ凛の髪を梳く。 「いやぁ…もう、結構なお手前で…」 「…」 汗の滲んだ肌でそのまま凛を抱き寄せて、多田が隣に横になる。 「…凛さん…引っ越そか」 「え?」 「…凛さんの部屋はあのまま残した方がええけど…」 多田がゆっくり息を吐いた。 「…ここは、知られてる…凛さんを留守番させるの…俺が無理や」 引越し…そんなの費用も準備も大変なのに。 「…」 すぐに返事が出来ない凛を、ボンヤリと明るい灯りの中で多田が見つめる。 「…なんも要らん…身体ひとつだけ、着いてきてくれたら」 多田が心配してくれる気持ちが嬉しい。 それでも、実質的な負担をきっと半分分けてはくれないのはわかっている。 ピトンと多田の胸に額をつけて目を閉じる。 「…カーテンと…食器と…三人がけのソファー私が買っていいなら…」 「……」 多田が、掛布を凛の肩まで引き上げて。 大事そうに抱き締めなおす。 「う…ん、まぁ…そやなぁ…」 ほら、やっぱり。 凛の主張を否定しない多田が好き。 それでも何とかと、考えてるところも好き。 「…匡平さん」 「…ん?」 凛は片付けを明日の朝に追いやって、多田にピタリと寄り添った。 「…一緒に行きますよ…どこへでも」 「…うん」 多田が思うより、自分は図太くて強いのだけど。 こうして護られて幸せだ。 多田が求めるのがこの身体ひとつでいいのなら、どこへでも行こう。
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