魔王の食料

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昨日食べた勇者の味は、実にまずかった。 いつもと変わらない朝を迎えた、この世の果てにあるかのような威厳を放つ魔王城。 実は王城のある町のはずれにあったりするのだが、そんなことはどうでもよいだろう。 ~~~ わしはその城の地下深くに住んで居る。簡単にはたどり着けぬ。だから町はずれで何の問題もない。 わしか? いかにも魔王である。 魔王が居れば、それを倒そうとする者がいるのは道理。 昨日も、私をたおすために勇者と名乗る少年がやってきた。 「我こそは勇者である。魔王よ、覚悟!!」 しかし、すでに一万人は優に超える勇者を倒している私には不可能は無い。 あっさりと倒して、焼き肉にして食べたのだが、肉が硬くて美味くなかった。 だったら食べなければいいだろう? って? そういうわけにもいかぬのだ。 腹が減っては戦はできぬし、ここでは食料の配給が滞ることも珍しく無いからな。 しかしたまにはもう少し旨い勇者が食いたいのぉ……。 ~~~ わしはこの国の王じゃ。 慈悲無き魔王がこの国で暴れていて困っているのじゃ。 早速だが勇者として魔王を退治に行ってきてもらいたい。 お主、肉質も良さ……、あ、いや。なかなか頼もしそうではないか。ここに100ゴールドと短刀を用意した。持っていくがよい。そなたの活躍に期待しておるぞ……。
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