阿吽

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 理不尽だ。  三畳一間に姉と二人押し込められた時の  妹の気持ちも考えて欲しい。  姉は、寝転がって小さなTVを独占し歌番組を見てる。  私は、歌番組より歴史ドラマが見たいのに…。  苦々しく思いながら“穴のでかい”後姿を見続ける。  ジャニオタであれば、私は納得する。  だって彼らは、幼き頃から努力を重ねて  トップに躍り出たんだから。  何とか娘だって、AKBだって色々努力してる。  人は、努力して高みを目指す孤高の存在だ。  姉は、来春受験を控えてる。  少なくともこの時間帯は、受験勉強をするべきなのだ。  などと、苦々しく思い続けていると、突然姉が振り返り 「あんた、今私に  『馬鹿なんだから勉強位しろっ!』  って、思ったでしょ?  姉ちゃん、この間の実力テストトップだったのよ。  だから自分への御褒美で“歌番組”楽しんでんの。  悔しかったら、あんたも学年トップ取ってご覧さないな」 姉は、私と違って努力知らずの天才肌なのだ。 にしても、何で何も言わないのに分かるのかなぁ。 “さとられ”なのかしら。 「馬鹿ねっ!漫画ばかり読んでないで本も読みなさいよっ!  読解力無いと数学の成績上がらないわよっ」 姉のアドバイスは的確で二の句が継げない私なのでした。
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