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父の再婚相手。
その人にくっ付いてきたのが朝陽だった。
「朝陽、今日からこの人がお兄ちゃんよ。よかったねえ」
物腰が柔らかい、ふくよかなその女性とは何度か会ったことがあるけれど、彼女の息子とは初対面の俺。
「よ、よろしくな」
ぎこちなく挨拶をすれば、ぷいと外方を向かれてけっこう傷付く。
「こんなやつ、よろしくしたくない」
「こら、朝陽」
「だってこいつ、理央にいちゃんじゃないもん」
理央にいちゃん。
朝陽が言ったその人は、彼と血の繋がりがある本物の兄貴。
両親の離婚の際、大学院を目指す彼は経済力の観点から、父親の方を選んだのだと後に聞かされた。
高校生の俺なんかより、もっと大人で賢い理央にいちゃん。
朝陽が俺を兄として認めたくない気持ちも、惨めだけど少しはわかる気がした。
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