呑兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕物控 肆 猫飼い村のその後、白天狗の謎

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夏凛さんと、僕と副所長で村の散策を始めた。 大駐車場には、数十台の車と大型バスが 2台止まっていた。 施設の収容人数も200人くらいと かなり大きい。まだまだ宿泊人数にも 余裕があるようだ。 施設でも、村のお年寄り達が働いていて 夏凛さんの会社からは、数人の社員が 来ているだけと聞いた。 もっと賑わってくれば、Wじいさんの 家族が、ここに戻ってきても充分に 生活できていくだろう。 そうなって欲しい物だ。 副所長も猫の匂いが気になるのか そこいら中をクンクンと嗅ぎ回っている 平日というのにかなりの宿泊客が来ている ここの温泉は 「塩化物泉」とかいうもので、 その温泉の基準が 温泉水1kg中に溶存物質量 (ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、 陰イオンの主成分が塩化物イオンのもので 特徴が 陽イオンの主成分により、 ナトリウムー塩化物泉、 カルシウムー塩化物泉、 マグネシウム―塩化物泉などに分類される 日本では比較的多い泉質だという。 塩分が主成分となっているので、 飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合や マグネシウムが多い場合は 苦く感じられるらしい。 (よくわからんがそういうこと) 泉質別効能は 浴用 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 飲用 萎縮性胃炎、便秘 によく効くらしい。 予定では湯治もできるように なるとの事。 このまま、この猫飼い村がひっそりとした 秘湯として続いていってくれればいいのだが。 時刻は6時を少し過ぎたところ、 お客さん達はまだのんびりしているだろう。 その時! 副所長が、急に吠え出し 僕のことをすごい力で引っ張った。 りんが見つめるその先に白い何かが動いた。 夏凛さんも気づいたようで、 「缶助!今のみたか?」 「はい、何か白い物が動いたような」 「私も、白い何かがいたのを見た もしかしたら今のが、白天狗の 正体かもしれない、 昼前に、金沢の街に行くぞ! 暗視カメラを買ってきて それを屋根の上に取り付けるんだ 施設の屋根と猫飼さんの家の屋根、 後は大駐車場と銭湯の屋根! 全部で4台設置して、今のが何なのか 突き止めるぞ」 「はい」 りんも、興奮冷めやらずいつまでも 屋根を見つめて唸っていた。 そして、帰ろうと振り返った時、 たくさんの猫達が、りんに対して攻撃態勢を とっていた。 「缶助!りんを抑えろ」 夏凛さんが叫んだ。 「僕は、咄嗟にりんを片手で抱きかかえ そばに落ちていた棒切れを拾い、 猫達に威嚇したが、全然効かない。 りんが腕の中で物凄い勢いで吠えまくっていた すると、向こうの方から猫間爺さんが ヨタヨタと走ってきて、 おもむろに、何かをばら撒いた。 途端に猫達がばら撒いたものに、近寄り 転げ回ったりねころんだりしている。 爺さんがまたたびをばら撒いたのだった。 「おめたち!今のうちだ! 早よこっちさこい!」 急いで猫達の間を抜けて 爺さんの方に行く。 爺さんがまたたびをばら撒きながら、 猫飼爺さんの家まで一緒に来てくれた。
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