呑兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕物控 肆 猫飼い村のその後、白天狗の謎

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1 「NPD」の現在 新事務所「NPD」に移ってきて半年が過ぎた。 副所長がこの事務所に来てから 小さい仕事が多いが何とか収入は 確保できていた。 夏凛さんも「りんは、招き犬だ」などと 言っているがもっぱら仕事を解決するのは 僕と副所長。夏凛さんは滅多に動かない、 しかし、副所長の散歩だけはきちんと してくれている。 それに、事務所での飲酒が30万円の コーヒーセットを入れたおかげで メッキリ少なくなった。 それはそれで、よかったのだが 僕としては、も少し動いてくれても 良いのにと思ってしまう。 副所長の、りんちゃんは本当に頭が良い というか、飲み込みが早いと言うか 冗談抜きで、警察犬も務まるんじゃ ないかと思うくらい、賢い。 2ヶ月くらい前に痴呆が入ったおじいさんを 探して欲しいと依頼があった時の事、 昨夜から行方不明という事で 警察も必死になって探していたのだが 中々見つからなかった。 その時りんに、おじいさんの褌の匂いを 嗅がせ、りんと一緒に探しに行こうと 思ったがしかし、りんは一向に家の 敷地から出て行かなかった。 やっぱり、りんには無理かと思っていたところ その家には裏に四畳ほどの物置が 建ててあった。 副所長が、匂いを嗅ぎながら その物置の前でお座りして動かない。 家の人も、警察もその物置も調べたが おじいさんは、いなかったという。 警察犬を入れては調べてなかったらしいが りんが物置の前から離れなかった。 家族に同行してもらい、もう一度 物置の中を調べる。 すると、副所長が奥の方へ僕を引っ張っていく 物置にはいろいろな物が置かれていた。 そして、いちばん奥に洋服を掛けて 収めるタイプのタンスがあった。 副所長は、そのタンスの前でお座りしている。 まさか、この中にいるのか?まさか? と思いながら両開きの扉を開くと、 何と!そこには老人が小さくなって 倒れている 家の人が、すぐに救急を呼び病院に 連れて行った。 幸い、命には別状なかったが これが冬や真夏だったら危なかったと医者が 言っていた。 家族も警察もそのタンスは調べたのだが いなかったと言っている、 考えられることは、その時は いなかったのだろう、その後にそのタンス の中に入り込んだに違いない。 警察が調べた後に副所長が匂いでわかり 探し当てたということだと思う。 何はともあれ、副所長のお手柄だった。 報酬は微々たる物だったが、 口コミで、りんのことが知れ渡り 少しずつだが仕事が増えたのも確かだった。 チリも積もればで、月にしたら 10万以上の収入だった。 しかし・・・全然足りない。 電気ガス水道その他諸々払ったら 家賃も払えない、おまけに給料なんて 遠くに及ばない、それでも、夏凛さんは 相変わらずの姿勢。 焦る訳でもなくいつもと変わらぬ ワガママお嬢様を貫いている。 でかい仕事でも入ってくれれば良いのだが。
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