呑兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕物控 肆 猫飼い村のその後、白天狗の謎

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ついこの間の事だが、浮気調査の依頼があった 僕は、ふと夏凛さん誘拐事件の事を思い出し この仕事は夏凛さんにはやらせなかった 僕が依頼者のお宅へ行き事情を 聞き、いろいろと索を考えた。 結婚して20年目で10歳の女の子1人 のご家庭だった。 奥さんからの依頼で最近ご主人の帰りが遅くなる 事が多く、週末も出かける事が増えて 今までは携帯電話を、あちこちに置いて いたのに、最近では肌身離さず持ち歩いている と言う、この行動に不信を抱いた奥さんが 「NPD」に依頼をして来た。 こう言う依頼の時にも副所長を連れていれば 散歩を装い後を付けても怪しまれない あの時の捜査は結構疲れたんだよな・・・ ############################ 週末の土曜日に、旦那さんが 仕事が入ったからと言っていてまた 出かけるとの連絡を受け、 副所長と共に出動開始。 NSXでは、目立つし自由に動けないので 中古の2000円のママチャリを買って 荷台に子供を乗せる専用カゴを取り付け、 チョット改造。 わんちゃん用のベッドを入れ座布団を敷き 振動を極力抑えそこに副所長に入ってもらう。 「NPD」緊急事、専用車両 『emergency・private・bicycle』 と称し「マシンEPB」と名付けた。 (ただ単に普通のママチャリ) 何となくカッコつけたかっただけだが マシンEPBに副所長を乗せ依頼者宅へ そのお宅までは、15キロくらい離れていたので 着く頃には、僕の足はぱんぱんになっていた。 しかし、これも仕事。現地に着き 旦那さんが出てくるのを 物陰にマシンEPBを止め、副所長を下ろし スタンバッテいた。 旦那の会社は、そんなに離れていないらしく 健康のためにいつも歩きで通勤してるようで 副所長を連れて後をつけていく。 すると、家を出て2〜3キロ離れた所で 停車していた車に乗ってしまった。 運転していたのは、どうやら女性のようだ すぐに車全体とナンバーを写真に収める。 この時の収穫はこれだけだったが ナンバーがわかれば持ち主もわかる。 夏凛さんの知り合いの〇〇調査所 に夏凛さんから電話をしてもらえば少しは 安くやってくれるだろう。 その、収穫だけを持ちまた、マシンEPBを キーコキーコ言わせながら15キロの道を 副所長を乗せて事務所まで帰った。 事務所に着く頃には、普通に歩けなく なっていた。一歩踏み出すごとに 自転車を漕ぐように、いちいち膝が上に 上がってしまう、副所長は快適だったらしく 事務所に着いた時は後ろで居眠りを していた。 副所長と一緒に事務所内に入る 僕の歩き方を見て、夏凛さんが ロボットのアシモみたいだと大笑いされた。 ムカついた僕は、 「誰のためにやってると思ってんですか!」 とキレ気味に言い返した。すると夏凛さんは 急に真剣な顔になり、僕のそばに来て 「ごめん」と言ってコーヒーを淹れるから 何がいいと聞いて来た。 「ブレンド」ひとこと言って 副所長とソファーに座る。 座った途端、眠気が襲って来て、 居眠りをしてしまった。 どれくらい寝ていたんだろう、意識が 少しずつ戻り始め、僕の顔の下に温かくて 柔らかい物を感じた。寝ぼけ意識で それを手で触る。 「うん?なんだ?この手触りは」 ふと、上を見ると夏凛さんが僕を見ていた。 僕が触っていたものは、夏凛さんの太ももだった。 夏凛さんは、何も言わないで僕を見ていた。 「やばい寝ちまった!」我に帰って 飛び起きる。 「す、すみません!いつのまにか 眠ってしまいました」 僕が飛び起きた瞬間、副所長がソファーから ゴロンと落ちてしまった。
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