呑兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕物控 肆 猫飼い村のその後、白天狗の謎

8/22
前へ
/22ページ
次へ
猫飼い村の中の道も整備されたらしく 大型バスなども入れるようになったとの事 宿泊施設は元村役場跡に作られたと 言っていた。どんな変わりようなのだろう、 今からワクワクする。 事件があった村長さん宅は取り壊され 家の前の道も封鎖され新たに道を作ったらしい 村自体の広さは変わらないと言う。 ヴォランテは、軽快に高速を走って行く。 僕は、オープンにしたくてうずうずしていた 副所長のトイレ休憩の時に 「オープンにしていいですか?」 思い切って夏凛さんに聞く 「気持ちよさそうだな」 と言うので早速、オープン走行でgo! 副所長は、最初戸惑っていたようだが すぐに慣れ、ベッドで丸くなりながら 空を見上げていた。 「気持ちい〜〜!」 「なかなか、いい車だな」 と夏凛さんも満足気味。 僕にとっては最高の時間だった。 夕方5時前には、猫飼い村に着いた。 前回来た時の村とは雰囲気がまるっきり 変わっていた。 猫飼いおじいさんの家に行く。 おばあさんも達者で元気だった。 ヴォランテを猫飼さんの家の前に止める。 おじいさん、おばあさんが驚いていた。 「何と!屋根がないけど軽トラックにしては ちと形が違うな」 「あんれま!可愛いワンちゃんでないかい」 「我が探偵事務所の副所長のりんです、 すみませんが、今回はりんも一緒に 泊めてくださいますか?」 「お〜!構わないぞい」 「副所長、さあこれに入ってね」 りん用のキャリーケースを出し 場所に慣れるまで、少しの間副所長には 中に入っていてもらう事にした、 猫ちゃんもいる事だし。 猫飼いじいさんが猫間のじいさんに電話をして 「探偵嬢ちゃんが来てくれたぞい!」 と電話をしたら猫間じいさんもすぐに 来てくれた。 「嬢ちゃん!相変わらずべっぴんじゃなあ」 「あらやだ!おじいさんったら!!」 「嬢ちゃんが帰ってすぐに 工事が始まってな、わしらも何が 起きているのかわからなくてな、したら 嬢ちゃんの「爺さまだ」と言う人が 「利ちゃんとこと、わしの所へ来て 『この村の温泉を使ってこの村に人を呼び込む』 言うたんじゃ、わしらも驚いたが 爺さまが言うには、『猫飼い村をこのまま にしておくのは、勿体無いと孫娘に 言われて、見に来た所、私も孫娘の 言った通りだと思って、この村の 再建を市の方に願い出た』 と言っておってな、それからすぐに工事が 始まったんじゃよ、わしらも驚いていたんじゃが 工事が始まってから少し経って、 この村の者に、仕事をくれたんじゃ、 宿泊施設の管理やら、土産物の店やらで 働かせてくれたんじゃよ、 わしらも、皆んな大喜びじゃった。 わしの息子家族も様子を見て、そっちに 帰ろうかな、何て言い出してな 息子の会社も、大変らしくて・・・ 何じゃっけ、大虎じゃなくて、トラック じゃなくて、とら何とかと言うので 大変らしいんじゃ」 「おじいさん、もしかして「リストラ」 じゃありませんか?」 夏凛さんが聞くと 「そうじゃそうじゃ!その「リスとトラ」 って言うんじゃったか、会社に いられなくなってしまったらしいんじゃよ」 (リスとトラの「と」はいらないんですけど と言いたかったが我慢した) 「それでな、息子が家族に「村に行こうか」 と話をしたところ、反対はせんじゃったらしい まだわからんがな」 過疎だった村に少しだけ灯りが射してきた ようだ。 「大丈夫、私のお爺さまに任せておけば この村も今よりも開けて行くと思います」 「だどもな、嬢ちゃん! 昔から、この村に伝わる話が最近になって また、騒がれて来たんじゃよ」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加