Remote Love

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Remote Love

 離別から8年の時を経ても尚、互いへの変わらぬ愛を確認した陽一と直人は、心だけでなく身体も急激に惹かれ合う。 「陽さん、僕、今直ぐ陽さんに触れたい。キスしたい。昔みたいに抱かれたい」 「直 ・・俺も同じ気持ちだよ。直と別れてから誰にも反応しなかったトコが、ムズムズする」 「誰にもって ・・美緒さんは別ですよね?」 「美緒にも、俺は不能だった・・」 「そう・・だったんですか。陽さん、お子さん居るし、昔女性が好きだったの思い出して、僕、てっきり ・・ごめんなさい」 「謝る事じゃないよ。女性好きかぁ ・・そんな時もあったね。実は美緒も俺の腹違いの兄、颯馬を深く愛していてね。彼以外は受け入れられなかった。俺達の関係は肉体的には繋がっていなかったけど、その分絆は深かったと思う」 「そう ・・だったんですか」 「うん。子供達も人口受精で授かったけど、俺と美緒にとっては宝以上だよ」 「陽さん ・・僕、美緒さんに逢ってみたかった」  陽一と美緒との間に肉体関係が無かった事に少しだけホッとする自分がいたが、それ以上に陽一を支えた美緒に対する感謝の気持ちで直人は胸が一杯になった。 「うん。美緒も同じだったと思う。それに二人はきっと良い友達になれたはず」 「陽さん ・・僕は ・・ごめんなさい。操を守ってなくて」 「そんな事で謝らないで。それに、直が8年も独りで居た方が俺は心が痛いよ ・・でもちょっとだけ田所さんに嫉妬しちゃうけどね」  不覚にも直人と圭が抱き合う姿を想像してしまった陽一は、それらをかき消すように首を振る。 「陽さんって今一人で居ますか? 会社の人は周りに居ませんか?」 「え? あ、うん。皆退社したよ。どうして?」 「陽さんの声を聞いてたら、僕のも凄く反応してしまって」  直人は身体の一点に血流が集中していく気がして、立っていられなくなると、その場にしゃがみ込んだ。 「直? リモートHしたいの?」 「う・・ん、僕、相変わらず陽さんにだけは変態なんです ・・スミマセン」  陽一は顔を赤らめながら語る直人を、見なくても容易に想像が出来た。そして自分の体内も火照り出すと頬が熱くなる。 「直は相変わらず可愛いね。愛してるよ」 「陽さん、だって僕ずっと、貴方の唇の柔らかさ、手の温もり、そして ・・僕に入ってくる感触を忘れた事は ・・ないから」 「直、俺もだよ。だから、この8年誰にも身体が反応しなかった。電話で声を聞いただけでアレが元気になるなんて絶対に無かった」 「陽さん、抱いてください。僕は貴方の声だけでイケるから」  昔と変わらぬ直人の素直な姿に陽一は、心底から湧き上がる熱い欲情を抑えきれなくなり、自身が会社に居る事を忘れてしまう。 「直 ・・手を直のズボンの中に入れてもいい?」 「は・・い」  電話越しでも頬を赤くした直人はコクリと頷いた。  直人は陽一が自分の下半身に向けて、直人の腹上に手を這わせていると妄想しながら、ユックリと自分の右手をズボンの中に収めて行く。 「僕も陽さんの触りたい」 「うん、触って」  陽一も直人と同様に、直人の手の感触想像しながらベルトを緩めると、自身の右手をズボンに入れていく。 「あっ・・」  直人は、自分のペニスが想像以上に大きく反応している事に驚くと小声で呟いた。 「もうこんなに硬くして ・・直、愛してるよ」  直人の驚きに応えた陽一だったが、強く剃り上がっている自分の性器に少し嬉しくなった。 「陽さん・・」  直人は昔自分のペニスを優しく扱っていた陽一の手の温もりを思いだしながら、ユックリと上下に動かしていく。 「はぁっ ・・んっ、陽さん」  陽一も同じ様に自身の性器を指で少しいたぶると、熱くなった右手で包み込んだ。 「ンっ ・・直の先っぽを舐めたい」 「陽さん ・・僕も、貴方の全てを喉の奥まで含んで、味わいたい」 「はぁッ、直 ・・上手だね、喉に当たって気持ちいいよ。ンっ」 「陽さん ・・そんなに攻めたら、あっっ、どうしよう、凄くイイっ、アッっ」 「直の中に入りたいよ・・ はぁっッ、指を入れてもいい?」 「・・ダメです」 「え? 直、だめなの?」  直人は自分の性器を扱いていた手を一旦止めてしまう。 「僕、ずっとアソコの穴を綺麗にしてなくて。陽さんにまた抱かれる日が訪れるなんて、望んでいても叶わないと思ってたから ・・ごめんなさい」 「直 ・・前にも言ったよね。直の全てが綺麗だよ」 「陽さん・・」 「でも、俺は久し振りだし直に無理をさせたくないから、今日はアナルに入れるのは止めるね」 「え?」 「その変わり、前でイカせてあげる。ここ、この先を吸われるのが好きだよね」 「陽さん・・ 陽さん・・ 僕はもう貴方なしでは生きていけないほどに愛しています」 「俺もだよ、直が俺の全て。俺のも触って、8年振りに直と一緒にイキたい ・・んッ」  陽一の甘い吐息が受話器から溢れ出ると、直人も止めていた手を動かし始める。 「アッっ、ハァっはぁ、陽さん ・・イイっ」  二人は69を頭に描くと、柔らかい口唇の動き、生暖かい舌の感触、時折亀頭吸い付かれ、そして全てを喉の奥まで包み込まれる感覚で、上手に手指を動かしていく。 「陽さん ・・はぁっ、イイ、僕、こんなに気持ちいいのは久振り、はぁっ、ハァっ、愛してる、んっ、ああっっ」 「俺もだよ ・・んんっっ、はぁっ、直、直、ずっとこうしたかった ・・愛してるよ」  陽一と直人は電話越しではなく、まるで実際に身体を重ねているような錯覚に陥るほどに、お互いの存在を近くに感じていた。  沢山の涙と溜息に紛れた8年間であったが、肌が触れ合う温もりと手触り、耳元に届く吐息を忘れた日は無かった。 「アっっ、陽さん ・・僕、もうダメです ・・ああっっ、ンンっ、イイ、陽さん、いいっ」 「直、俺ももう ・・はぁっぁ、んっ、ハァ」  二人の耳に届くお互いの声がどんどん荒くなると、心臓の鼓動も昂っていく。 「陽さんっ、ごめんなさい。僕、もうダメっっえ、イっちゃう、ああっっつ、はぁぁ、ハァハァ」 「直、一緒に ・・俺ももうイクっっ」 「陽さん、ハァハァ、んんんっっ、あぁっッ、イクっっ ・・イクっ」 「直、俺も ・・イクっっ、んんんっっ、ハァアはぁ」  二人はお互いの手を自身の精液で満たすと、張り詰めていた筋肉が一挙に緩む。そして、8年間空洞だった心がお互いの愛で満たされていく。 「直、明日が待ち遠しいよ。早く直に触れたい、抱き締めたい、君の体温を感じたい」 「陽さん、僕も。早く明日になって欲しい。陽さんの硬くて大きいのを僕の中で感じたい」 「直、俺の事を忘れないでいてくれて、変わらぬ愛をくれてありがとう」 「陽さんも・・ こんな僕を ・・愛してくれて ・・あり・が・とう」  陽一と直人は嬉しさのあまり胸が張り裂けそうになると、声を震わせながら幸福感に包まれた。
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