6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのさ、愛子。俺、じつはさ……」
俺は、語り出した。
愛子に。なにがあったかを。
……透子さんに、会ってきたことを。
最初こそ、訝しげに聞いていた愛子だったが。
やがては、口を挟まなくなり……真剣に聞いてくれて……。
すべてを理解してくれた愛子は、泣き出した。
さっき俺が逃げてしまったときよりもずっと、思い切り。
「お姉ちゃんの、ばか……」
俺は、最愛のひとのからだを、抱きしめる。
もう、逃げない。逃げたくない。逃げはしない。
「お姉ちゃん……どうして、死んじゃったのっ……」
俺は、愛子の悲しみを、抱きとめ続けた。
最初のコメントを投稿しよう!