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「嘘です! 父さんも嘘をついているだけ……」
「マライカ、本当に俺の子供がいるんだな」
セオムの言葉に確信したファリスはマライカに詰め寄り、両肩を揺すった。
「ダメ……それじゃダメだ! 違う。違います。貴方の子じゃない。違う、違う!!」
言った途端だった。胃から込み上げるものを感じてマライカは蹲る。こういう時につわりとはなんと悲しいことだろう。これではますます言い逃れができなくなってしまう。マライカは苦しくて涙を浮かべ、ただただ蹲った。
「マライカ、辛いのか?」
彼の骨張った手がマライカの背を撫でる。ほんの少し気分が楽になると、突然マライカの身体が浮いた。
「我が王、私どもはこれで失礼いたします」
口にするなりファリスはマライカを横抱きにして謁見の間を去った。
マライカはむかつきに目を閉ざし、彼から逃れられるようにと願った。
《王の兵・完》
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