題名のない話

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白いうさぎが紅茶を飲みながら言う これから、どうするの?って 片手には本、窓際に座って優雅に読書タイムらしい 私は 「分からない」 と答える 黒い猫がぶっきらぼうにはなす 今はなにもせず、 何も無いことを願うのみじゃねーの?と なにもないこと…私はどうしたらいいんだろう… 錠を持つ子がいう どうしようもできない上に、 あの子は、まだ目が覚めないよ 鍵を持つ子が補足する このまま、ずっとずっと眠りについたまま のつもりなんじゃないかな 心の中で呟いたこと、思ったこと、 この子達には筒抜けだ 「永遠の眠り姫。 私たちは、また私たちで世界を回すの?」 そうするしかねぇよなぁ?白うさぎ と黒い猫 私はなんでもいいけど、黒猫さんは異議ある? 俺?俺もなんでもいいね、出番ないし 相変わらずテキトーだなぁ、私もだけど 白いうさぎと黒い猫は、仲よくケラケラ笑う モグモグ…僕は思うんだけど あの子は目が覚めないわけだし、 好きにやってみるのもいいと思うんだ 錠を持つ子がシュークリームを食べながらいう そばにあるテーブルには、マシュマロが沢山乗ったココア そこにそっとマシュマロを足していく鍵を持つ子 もう、いいよ?ありがとう ……ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ あの、もう乗らないから…… ひとつ、ふたつ…次々に乗せられていくマシュマロ ……ねぇ、きいて?? 多分、飲むまでマシュマロ攻撃は止まらないだろう いつものこと、錠を持つ子は甘党で、 鍵を持つ子はそんな彼女に甘々攻撃をする 仲がいいことで 「好きにやってみるって、私がやるの?」 それはー…今は、そうだね いや、まぁ、いいんじゃないかな? と、言いながらマシュマロを頬張る錠を持つ子 正直いって、やりたくないのだけれど? 愛とは、物をつくることと同じだと思いますよ? お子様には、分からないかもしれませんけれど、ふふふ と、バカにしたように愛のスペアが言う 手元には、作り中のリボンアクセサリー ひと針ひと針縫っていく 「その愛を作ることに失敗したから困ってるんだよ」 愛なんて、奪っちゃえばいいのに と、愛のために作られた心がいう 「そう上手くいかないのがリアルなの…」 リアルって不便だよね、大嫌い と、鍵を持つ子 みんな、昔に戻るの? 口開けぬ子が手話で話す 却下。 "かちゃん"と白いうさぎがティーカップを置く 昔に戻るなんて、それで愛が貰えなかったらどうするの? 今でさえ貰えていないのに と、白いうさぎ でも、と錠を持つ子 今も昔も愛なんて貰えた試しなんか無かったじゃないか 今、辛うじて繋がって生きられているんだよ あの子は目を覚まさない、また僕たちで世界を回さなきゃ 「私は、あの子の代わりにはなれない 扉を閉じているから成立する話」 扉を閉じても、閉じていなくても 愛を貰わないと生きていけないよ と、錠を持つ子 そんなことを言っていたら、 いつまで経っても貰えないままよ と、白いうさぎ どうかな?また、作ればいいじゃないか それこそ愛のスペアがいうように 本気?冗談なら、愛のために作られた心の方がマシよ まさか、奪うって言うの? あんな冒険、僕は真っ平御免だね ぐいーーっとココアを飲む錠を持つ子 じゃぁ、どうしろっていうの? 私たちは愛がなきゃ生きていけない そして、愛してくれる人はいないのよ ごくごくと紅茶を飲む白いうさぎ またはじまったよ…と黒い猫が呆れている 昔からこうなのだ、白いうさぎと錠を持つ子は相性が悪い いうなれば、犬猿の仲 白いうさぎと錠を持つ子、自我と正義である 人間には、皆悪い部分といい部分があるというが、 2人はそんな者の象徴だった 問題は新しい愛を貰うか、今のままを保つか はたまた、誰からも貰わずやってみるか、ですか? と、白い悪魔が言う 俺たちは、昔に戻っても大歓迎だけどなぁ? と、黒い妖精 「誰からも貰わずになんて、無理無理 そりゃ、フリータイムはもつけども」 同じ人から愛を貰う? と、口開けぬ子 「それは、期待できないかな…何十年もかかりそう」 …… しょんぼり顔の口開けぬ子 そんな顔しないで、胸が痛いです… みんなの花はまかせて!私できるよ! と、夢見る子 花は生きている その中には幼い花もあった でも、栄養がなければ枯れてしまうもの 一生懸命なっても、今は太陽が痛い 栄養作って言わんでなぁ?さすがに無理やで と、種を持つ子 栄養は作れない、そんなのできたら 今すんごく楽に生きてるだろう でも、そう、栄養は全部吸い取ってしまった バカ 一日は長い、嫌でも日はすぎる。 だからこそ、悩む して、まとまったかな? と、樹木が静かに重みあることを言う 「いいえ、決まってません。神様どうにかして?」 リアルの干渉は流石に 神様の匙投げ、うそぉん… 樹木は何十メートルともある体から またまた何十メートルともある枝から 葉を伸ばしている 私たちは、それを神様と呼んでいる 花は栄養が必要 でも、まだ出来ないのが現実 足りない栄養、どうすることも出来ない愛の補給 時が経てばくるだろう、水の子よ と、樹木はいう 水の子 もう、ずっと泣いてないのかもしれない いつからだろう、麻痺しだしたのは 私は泣くことを忘れている 悲しくてもケロッとして、薄情なやつかもしれない あの子は目を覚まさない あの子は、リアルから逃げている、いけないこと でも、もう、どこにも居ないつもりなのかもしれない あの子が生んだ私たちは、 取り残されてココに居るしかない それでも、私たちは恨んだことはない むしろ、喧嘩してでも守るつもりだ ただ、悲しいこと やり直せないこと 私は、おかしな心の中で思う 早く心臓を止めたいと なにもない、ページをなぞる 私の物語は泥に濡れた、価値のない星だと歌った 私たちは、愛を貰わないと愛を返せない でも、それすら欠陥品だった できてない、この仕組み あの時こうしてれば、 あの時ああしてれば、 後悔しかない日々 欠陥品なんて、壊しちゃえばいい 偽物しか作れないのならば 本物が欲しい私たちは もうどうすることも出来ない この、どうしようも無いリアルに 最後の息を出して、飛んでしまおうって そんな結末を、私は望みたい もう泣けない私を 咲いてしまった私を 潰して。 救えない、掬ってはダメです と、白い悪魔が囁く むしゃり…きっと、甘い味だ、でも甘い蜜毒なんだ と、黒い妖精がフルーツを食べながらいう お皿に、箱からフルーツを付け加えて、 セリフも付け加える 俺達双子は愛なんてお互いで補給した、と 悪魔と妖精が、種族を越えた姉妹になれるのだから 愛とは深く濃いものなのかもしれない でも…でも、…… むりだよ、リアルじゃ一人ぼっちだ 私たちだけでなんて 目尻が熱くなる 一人ぼっちは寒い と、愛のために作られた心が言う 寒いのは嫌だと震えていた もう、咲いてしまった また、閉じればいいのか? …多分うまくいかないだろう ずっと、ずっと、忘れてしまいたい もう、眠ってしまいたい あの子はズルい そう思うけれど、彼女を癒すことは誰にも出来ない そう、だから、私は思う この堂々巡りを終わらせるには、 きっとこれしかないんだって 彼女を無理やり起こして、 その無機質な心で、 カーテンを刺して、と そうしたら、この瞳は永遠の眠りにつく ねぇ、いいでしょう? 真っ暗なカーテンを持ち、途中でこの劇を終わらせても 進まない、忘れたセリフを思い出すことはなく あの子はきっと、そうする 保管室 透明な瓶に液体が中途半端に入っている "00000000000"とかかれたプレートが ぶら下がっている瓶 その瓶は空っぽで、真っ黒に汚れていた その隣には同じく、"00000000000"とかかれたプレート 瓶には液体が入っていたけれど、 その液体は空っぽの瓶の汚れさに負けないくらい 汚れた液体が入っていた それもたっぷり、溢れてしまったくらいに 床がびちゃびちゃだ みんなが言う これは、偽物の愛だって だから、綺麗な愛を見てみたかった、 ずっと続く、無償の愛 と、白いうさぎ 私も信じてみたかった でも、そんなもの、リアルに存在しなかった 私たちが、それを生成できないのだから 愛とは無償では無いんだろう 与えられるものがない私たちは、多分もう… 本をとじてしまおう、縫ってしまおう もう、見ることがないように こんな物語、救えないよって 私は、瞳を閉じる
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