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第一話「神様ギフトのない妹・わたし」
(Anja-#pray for ukraine# #helping hands# stop the warによるPixabayからの画像 )
神さまからのギフトは、猛烈に不公平だと思う。
きっと生まれる前の赤ちゃんを並べて、適当に才能を振りまいているんだ。だから100かゼロ。
私、中川陽菜(なかがわ ひな)は“ゼロ”だった。
十三歳のあの日、双子の姉・真奈(まな)が鏡を割るまでは――。
大学生になった今、私は毎月、ポストの前に立つ。
「――真奈、送るよ」
コトンと封筒を落とすと、指先から後悔が消えてゆくような気がする。
真奈は小学校でも家でも人気者だった。私たちは一卵性の双子だから顔は同じはずなのに、真奈のまわりだけキラキラと空気が輝いているようだった。
真奈は、算数と体育とピアノが得意。ピアノなんて、楽譜なしでサラサラ弾いた。
両親はいつも真奈をほめた。ママは毎日、真奈の宿題をみていた。
私はひとり。いつでも一人。
だから、泣きそうになるたびに本の世界へ飛び込んだ。だって、文字は私を裏切らないから。
中学では文芸部に入った。真奈がテニス部だったから、文化部を選んだんだけど。でもそこで、私は”書くこと”にハマった。
モノをよく見て、感情を探して書く。言葉の選び方で、ただの字が突然、物語に変化する。たまらなく面白くて、私は夢中になった。
ある日、顧問の先生が私たちを集めて言った。
「中学生向けの童話コンテストがあります。希望者には書いてみるように。よければ、先制が添削をしますよ」
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