あの子の家族が語るあの子のこと2

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あの子の家族が語るあの子のこと2

オルミくんはうなだれたまま、滔々と続きを語る。 「ユピさんとボクら…ボク以外にも一緒に住んでる人たちがいて、ボクが赤ん坊の頃からユピさんとオカシさん、ナッツさん、シュシュさんで家族として暮らしてきた」 「ボクたち家族はね、たまにケンカしたり困ったこと起きたりするけど仲良しで。みんなで結構楽しく毎日過ごしてる。今日は何して遊ぼうとか、ご飯は何を作ろうって」 「ユピさんも毎日の中で笑ったり喜んだりするし、幸せに近い時があると思う。でも、みんなが寝た後とかにユピさんは一人でこっそり起きて、淋しそうな顔をしていることがある。昔夜中に目がさめて偶然それを見てから…、どうしても気になるようになった」 「泣くことも、ごくたまにだけどあるんだよ。最近は前より落ち込んでいる感じに思えて…。ユピさんに何か悩みがあるなら、力になりたいのに。きいても『悩み事はないよ』って、はぐらかされて教えてもらえない」 東屋に到着する前にオルミくんの気が淀んで見えたのは、ユピに何もしてあげられない彼の苦悩のせいだったんだろう。 自分が大事に思う相手の助けになれないもどかしさに、ムッピもずっと苦しみ続けた。 「ユピが心に抱えているものって、一体何なんだろう…」 それさえ分かれば、本当にユピに幸せをあげられる。 ムッピの言葉をきいて、オルミくんは顔を上げてムッピの方を見た。なぜか視線に意味ありげなものが含まれているような…。 「ボクも、ずっと自分なりに原因を考えていた。分からなかったけど、いまムッピさんに会って原因らしいこと思い浮かんできた」 「えっ!?どんなこと?きかせて!」 オルミくんは唇を硬く閉じ、気まずそうな顔になった。 「なぜ沈黙するの?」 ムッピはほっぺたに空気が入り、ふくれっ面になる。 「言っても構わない?」 「問題ない」 オルミくんが右手の細い人差し指を、ムッピへと向けてきた。 「原因はムッピさんだと思う」 ♦        ♦        ♦           ♦ ユピの心を暗くさせている原因。ムッピ? 「えー!!」 オルミくんが言ったことに衝撃を受けて、思わずベンチの上で立ち上がる。 「あっ…」 右足をベンチのギリギリはじに置いていたため、バランスが崩れて体が下に傾き落ちてしまった。 「痛いーっ」 さっきはオルミくんが落ちて、今度はムッピ。幸い頭ではなく、お尻をぶつけた。お肉がついていても、何だかんだ痛い。 「ムッピさん!お尻打った?ケガしてない?」 オルミくんがベンチから下りて、ムッピの体を抱き上げてベンチにのせてくれた。 「お尻は脂肪が多いから大丈夫。ありがとう」 甥っ子姪っ子のように、ムッピは尻尾が生えていなくて良かった。あったら尻尾が折れてしまっている。 「そんなに飛び上がるほど驚くなんて思わなかった。ごめんなさい」 「あっ、謝らないで。ムッピがドジしただけだし」 自分が悪いと思ったオルミくんに謝られ、慌ててムッピに非があることを伝える。 足場を見ないで落ちちゃうなんて、ムッピはやっぱりまだ未熟の半人前の生き物だ
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