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最寄りのコンビニに行き、レジでラッキーストライクを450円で買う。先輩の好みはすでに把握済みだ。ちなみに父もタバコを吸うが、何の銘柄を吸っているかは知らない。興味のないことは、頭に残らないものだ。
年齢確認のタッチパネルでは20歳以上だと堂々と嘘をつき、無事にミッションを遂行する。バイトのお兄さんも「本当に成人してますか?」なんてわざわざ聞いてきたりはしないものだ。お互い面倒くさいのは避けて生きたいはずなのだから。
ただ、もし年齢を聞かれたら、それこそ「実は先輩に頼まれて……」と正直に答えてしまうくらいに世渡り下手なので、1店舗目で何事もなく買えて良かった。
ラッキーストライクの箱を見ると、赤い丸が描かれていて、ポケモンのモンスターボールみたいだ。
コンビニを出た僕をポケモンに例えるなら、店員さんが未成年を疑ってストライクばりにカマをかけなかったことに対し、ラッキーみたいな顔で安心していたと思う。
『玲音先輩、キミに決めた』と心の中で呟きつつラッキーストライクをきゅっと握り、僕は部室へと戻った。
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