部室に残る天気雨

7/10
前へ
/10ページ
次へ
「おっ、降ってきたな」 窓から外を見ていた先輩が、パピコを咥えたまま器用に呟く。突然降ってきた、どしゃ降りの夕立。一気に空が暗くなり、生ぬるい風と一緒に雨の匂いが部室に入ってくる。 「こりゃあ、濡れるだろうな」 先輩は部室の窓を閉め、鍵をかける。2人きりの部室。だけど、外から入ってきた雨の匂いが残っている。 僕も先輩もなんとなく無言でいると、廊下からバタバタと足音が近づいてきて、部室のドアが無遠慮に開かれた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加