部室に残る天気雨

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「あっ、パピコ食べてたんだ。私にもちょうだい」 「陽向のはねぇよ。俺はサニーに貰ったんだ」 陽向先輩は、ちらりと僕のパピコに視線を移し、それから僕の目を見て、にっこりと笑う。 「パピコ、貰っていい?」 思わず、持ち手に力が入る。 「これは僕のなので、ダメです」 「そ」 陽向先輩はそれだけ言うと玲音先輩に視線を戻し、行くわよ、と声をかけて僕を見た。 「玲音、借りてくね」 「ちょっと合唱部の件で打ち合わせに行ってくる。サニー、また部活でな」 2人は部室を出て行き、僕は雨の気配だけが残る中、ひとりになった。
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