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空の青さがまぶしくて目を逸らす。
天気の良すぎる日はちょっと苦手だ。あの日から。
終業式の日はわくわくする。
長い夏休みの前日ともなれば、普段は感情を表に出さない海翔でも頬が緩む。
「いやっほう! 明日からくそ暑い中、毎日学校に来なくていいんだ~!」
奇声に近い大声をあげた湊に誰も眉をひそめなかったのは、おそらくみんな同じ気持ちだからだろう。
「でもクラブ活動あんじゃん」
「ああ、オレ、帰宅部で良かった」
「授業ないだけ、いいでしょ」
いつもなら「だりー」「あちー」しか聞こえてこない会話も弾む。
家にいたって楽しいことがあるわけじゃない。
だけど自由だ。
そう思いながら海翔は、斜め前に座っている中村麻帆に目をやった。
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