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ゆっくりと靴を履いて青空を見る。
「絵から音なんて聞こえやしないよ」
計画通りだ。
湊と仲良くなった中村麻帆は、もうすっかりクラスに馴染んでいる。
切なくうなだれた白い首筋を、これからは見なくても済む。
これでいい。
じきに調子のいい、うすっぺらな湊はきっと愛想を尽かされる。
絵筆を握る彼女は次にどんな絵を描くだろう。
その時は。
次は迷わずにきっと。
青空の端が僅かに黒く滲む。
じきに夕立が来るだろう。
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