青空に泣く

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 昨年、高校へ入学して初めての学祭で海翔はそのテンション高い空気に疲れ切っていた。  一息つきたくて、あえて人気のない美術部の展示教室に入った。  まさか、こんな衝撃を受けるとは。  一枚の絵の前で暫し呆然とした後で、(あわ)てて作者名を確認したのだった。 「今年、同じクラスになるとは思わなかった」 「へえ。海翔、中村麻帆のことが好きなの?」 「絵が気になった、それだけだよ」  棒だけになってしまったアイスを名残惜し気(なごりお げ)にくわえたまま、湊は肩をすくめた。 「そんなにうまいの?」 「どうかな。抽象画(ちゅうしょうが)ってやつ? でもさ、見た時に」  少し迷ってから言った。 「雨の音が聞こえた気がした」
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