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「あなたの死因、結構分かりやすいと思いますが」
ボソッと呟かれたレオの言葉に彼女は顔を顰める。
「分かりやすいって、どういうこと……?」
次いで彼女はあかりを見たが、もちろんあかりにも彼の言葉の真意は分かるはずもない。あかりが慌てて首を横に振ろうとしたそのとき、ふわっと体が浮かぶような感覚を覚えた。窓の外を見ると、見えている景色が、ゆっくりと時計回りで回転していく。気付けば地面がすぐそこまで迫っていた。
(振り落とされる……!)
そう思ったとき、レオがいきなりパチンと指を鳴らす。その音を合図に、体を外に引っ張り出そうとする力が一気になくなり、宙に浮きかけたあかりの体がベシャリと落ちる。咄嗟に手をついたものの、強めに鼻をぶつけてしまった。
「痛っ!」
あかりはうつ伏せになったまま、ヒリヒリと痛む鼻を押さえた。
(うう……ただでさえ低い鼻が……)
涙目になりながらゆっくりと起き上がったそのとき、目の前の光景にあかりは息を呑んだ。てっきり床に向かって落下したものと思っていたが、あかりが実際に立ち上がった場所は窓ガラスの上。バスはいままさに横転しようとする寸前で、地面スレスレのところで止まっている。
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