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グアグアガ。ゲゲロロロ。ゴワアゴワア。
どうやったって、だく点だらけの声なんだ。
カエルくんは、降ってきた雨を見上げました。
いいなあ。
さああさああ。ぱららぱらら。ぽつっ、とんっ、すうっ。
すてきな音だなあ。
ちっちゃい子が空気の中をくるくる落ちながら。もう少し大きな子はもっとはやく。それから葉っぱにはねて、石にとんで、地面にしみていくときの、リズミカルで、さわやかな、やさしい音。
そう、みずたまくんたちのかなでる音は、どれもすてきです。
うらやましいカエルくんは、まねしてみます。
ガララガララ。グワララグワララ。ゴッ、ゲロッ、ズウン。
カエルくんの鳴き声は、だくてんだらけです。だくてんとは、にごった音のこと。まねしているつもりなのに、だくてんになってしまうのです。
でも、みずたまくんたちがとんだりはねたり流れたりするときのような音が出したいのです。とっても澄んでいて、だれとタッチしてもぶつかっても、心があらわれるような音なのですから。
グアグアガガガ、ゲゲロロゲゲロロ。ゴワアゴワア。
首をほそめてみても、目をとじてみても、逆立ちしてみても、カエルくんの声はそんなんでした。大きくひびくコツはわかったけど、にごったままです。
カエルくんはかなしくなりました。ほそくてしめった泣き声になっても、それはだくおんです。目から涙があふれ、それが空から落ちてきたみずたまくんたちと混じります。
ねえ、どうして泣いているの?
だって、きみたちのような音が出せないんだもの。
きみって、バカだなあ。
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