機械仕掛けの終末

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目が覚めた。 今まで眠っていたようだ。 いや気絶か? 古い夢を見ていた。 もう思い出せないが、無性に懐かしい。 腕が痛い。 「アトハチ!  目覚めたか、よかった!」 カイの声がする。 首を回すと、横にいてこちらを覗き込んでいる。 視界がクリアになる。 「どうなった…」 カイはその顔を歪める。 「…お前のいう通りだった。  プラントは崩壊したよ。  シェルターの中にも呪風が入り込んで、  人口の4割が犠牲に…」 身体を起こす。 「あいつはどうした!  Δ588-7は…」 「なに?」 カイの後ろからひょこりとのぞく。 あの幼く造られた顔が、起きて動き、しゃべっていた。 嵐が去って。 青空。 人工月は今日も変わらず空に浮かぶ。 テントを出て瓦礫の中を歩きながら、空を見上げる。 「無事だったんだな」 「あのカイさんというのが、  探しにきてくれたようで、  見つけて再起動してくれた」 「あいつ、元はメディカルロボだから。  こういう時は頼もしいな」 「あなたの意識が戻らないので、  心配していた」 「俺は、一体何が…」 「主電源を落としたわけじゃなかったって。  私のいう通りにはしなかったんだね」 「誰がするか」 意識が途切れる間際。 生命活動を停止したはずのΔ588-7が動いたのは、気のせいじゃなかった筈だ。 「お前、  二度とするなよ」 「しないよ。  あんなのはもうごめんだ」 「あんなの?」 こちらを見る。 何も言わない。 「取り憑かれたことか…」 腕が軋む。 「…呪いというのは、  ニンゲンというのは怖い。  滅んでなお、  命を奪おうとするなんて」 震えている。 「二度と、  命を手放すようなことはしない。  呪いにこの身体を明け渡すことも、  あなたを傷つけることもしない。  ごめんなさい」 下げられた頭を、ポンと叩く。 「よし」 「ねえ、聞いてもいい?」 「なんだ」 「呪いに侵されても、  崩壊することなくそれを退けられるなんて、  あなたは何者なの?」 右腕が。 軋む。 「俺にも分からない」 いくつもの国が滅び。 街が壊れていく中で。 なぜ自分だけが。 滅びないのか。 「俺は、  何者なんだろうな…」 主人が刻んだ命令。 もう自分でも思い出せないその命令が。 自分をいつまでも生かし続ける。 続
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