「イジメ」は犯罪者をまもる隠語

7/7
前へ
/7ページ
次へ
帰宅時間になり。 ジャージに着替えて過ごしていた羽音は「先に帰ってて。」と出鶴に言って、担任の所へと急いで行った。声の大きい教師も交え、4人で話し合いだ。 ――もしかしたら 個別に話をしてるかも知れない。私も当事者(トウジシャ)なんだよね? 出鶴は 話の流れを聞いて、羽音が不利になるようなら自分が受けてきた事を話すことにした。()()えず先に帰宅して、羽音の帰りが(オソ)くなることを伝えることにした。 羽音が帰宅し、笑いながら「喧嘩しちゃった。」と言うと、義母は目を丸くした。 「っもう!転入早々から、また!?」 ――また!? 「てへ♪ ちょっと水を掛け合ったの。ほら、今日 (アツ)かったしょ。」 「はぁ…。 こっちでは 出鶴ちゃんも居るんだから、巻き込まないでよ?」 ――え!「巻き込ンンッ」 羽音は出鶴の口を(フサ)ぎ、手を引いて階段を登った。出鶴を部屋に入れるとドアを閉め、ふぅ…と一息ついた。 「ねぇ、羽音。巻き込んだのは私の方なのに。(カバ)わなくても 私は平気だよ。」 羽音はクスリと小さく笑い、(テノヒラ)をひらひらさせて言った。 「いやいや、アタシさ、喧嘩(ケンカ)(ッパヤ)くて。 だから、出鶴のことがなくても あの人とはぶつかってたわ。」 「…そうなの?」 「そうだよ♪ 出鶴は、学校 行きたい?」 ()かれて、出鶴は少し考えた。 「うん、行きたい。」 「じゃあ、折角(セッカク)行くなら楽しもうよ。」 出鶴は 満面(マンメン)()みを()かせて(ウナズ)いた。羽音が言うなら 絶対(ゼッタイ) 楽しい毎日になると、確信を持てたからだ。 羽音が咲かせたのは1つではない。 以前より楽しそうに学校へ通う出鶴の様子を見る父親にも、笑顔が増えていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加