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帰宅時間になり。
ジャージに着替えて過ごしていた羽音は「先に帰ってて。」と出鶴に言って、担任の所へと急いで行った。声の大きい教師も交え、4人で話し合いだ。
――もしかしたら 個別に話をしてるかも知れない。私も当事者なんだよね?
出鶴は 話の流れを聞いて、羽音が不利になるようなら自分が受けてきた事を話すことにした。取り敢えず先に帰宅して、羽音の帰りが遅くなることを伝えることにした。
羽音が帰宅し、笑いながら「喧嘩しちゃった。」と言うと、義母は目を丸くした。
「っもう!転入早々から、また!?」
――また!?
「てへ♪ ちょっと水を掛け合ったの。ほら、今日 暑かったしょ。」
「はぁ…。
こっちでは 出鶴ちゃんも居るんだから、巻き込まないでよ?」
――え!「巻き込ンンッ」
羽音は出鶴の口を塞ぎ、手を引いて階段を登った。出鶴を部屋に入れるとドアを閉め、ふぅ…と一息ついた。
「ねぇ、羽音。巻き込んだのは私の方なのに。庇わなくても 私は平気だよ。」
羽音はクスリと小さく笑い、掌をひらひらさせて言った。
「いやいや、アタシさ、喧嘩っ早くて。
だから、出鶴のことがなくても あの人とはぶつかってたわ。」
「…そうなの?」
「そうだよ♪ 出鶴は、学校 行きたい?」
訊かれて、出鶴は少し考えた。
「うん、行きたい。」
「じゃあ、折角行くなら楽しもうよ。」
出鶴は 満面の笑みを咲かせて頷いた。羽音が言うなら 絶対 楽しい毎日になると、確信を持てたからだ。
羽音が咲かせたのは1つではない。
以前より楽しそうに学校へ通う出鶴の様子を見る父親にも、笑顔が増えていた。
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