雨の日

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 今度は満面の笑みで息子さんの事を語りだした。 「あの時の息子の嬉しそうな顔は忘れられないわ。息子もその日は無理かもって思っていただろうし」 「そうだったんですか、なんかいいですね」 「そんな息子も今は大学生よ。時間の流れって早いわね」  高田先生の言葉を聞いて私もそう思った。  夫と出会ってからすでに10年以上経っているんだなと考えるとすごく早い気がする。 「ねえ、確か山下先生って電車通勤だったわよね、電車が途中で止まるかもしれないし、私が車で送っていくわ」 「いいんですか?」 「いいのよ。素敵なエピソードを聞かせてくれたお礼よ」 「私の方こそ心温まるエピソードをありがとうございます。先に夫に連絡しますね」  そう言って、私は夫に連絡してこの事を伝える。 「もしもし、あのね今日先輩の先生に車で送ってもらうから、少し遅くなるかも、え、会社の先輩が電車が止まって帰れないからうちに泊めて欲しいって言ってるの?私は構わないけど」  私が夫と電話で話していると高田先生のスマホも電話が鳴り、話し始める。 「もしもし、あなたどうしたの?え、後輩の家で泊まるって?私が迎えに行くからその後輩さんのお家を教えて。ん?確かそこって……」  次の瞬間私と高田先生は顔を見わせる。こんな偶然があるのかと。まるでかみなり様のいたずらに翻弄されているみたいだった。 終わり
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