楽しい旅行は危険がいっぱいのドキドキ展開

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「……さて、到着」 里深は琴葉の家の前に、静かに車を停車させた。 「ありがとうございました。疲れてるのに家まで送ってもらって」 里深が下ろしてくれた荷物を持って、琴葉は里深にお礼を言う。 「どういたしまして。ことちゃんだけじゃないんだから気にしなーい」 「あ、薬代。遅くなってすみません!」 琴葉が財布から1万円札を出した。 里深はニッコリ笑う。 「お釣りないから、また今度でいいよ」 里深はやんわり断った。 「お釣りは良いですッ!受け取ってください!」 今回ばかりは、琴葉も引き下がらない。 旅行代金だって、絶対に安すぎると分かっている。実際に破格だったのだ。  今渡さないと、きっと次回会ったとしても、また上手くはぐらかして受け取ってもらえないと思った。 「……じゃあ、お釣りは次回渡すね」 仕方なく里深は受け取る。 「いえ!本当に!最初の時の飲み会の時も支払わずに終わってたし、絶対に気にしないでください!」 律儀すぎる琴葉に、里深はフッと微笑む。 「あ、ちょっと待っててもらって良いですか?」 琴葉は急いで家の中に入ると、冷蔵庫からペットボトルのコーヒーを出して里深の所に戻った。 「帰りに飲んで下さい」 里深が飲んでいた、空のペットボトルをドリンクホルダーから抜き、そこに新しいコーヒーのペットボトルを差し込んだ。 「あ、ありがとう」 琴葉の行動に里深は驚く。 「いえ!家にあったの思い出しただけです。少しは眠気覚ましになるかなって」 琴葉の気遣いに里深は笑顔になった。 「十分なるよ。コンビニに寄ろうと思ってたし、助かった」 「良かったぁ」 琴葉はホッとするが、その顔を見て、里深は心がギュッとなった。 「……じゃあ、またケーキビュッフェ楽しみにしてる」 「はい。気を付けて」 「うん。またね」 琴葉は手を振って見送る。 楽しい時間が終わった事に、琴葉も里深も、なぜか一気に寂しく感じてしまった。
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