もっと近づきたい!もっと知りたい!のに?恋愛音痴は取扱注意!

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「ことちゃん、良い子すぎるし」 堪らなくなり、里深はついポツリと漏らした。 「はい?」 何のことかと琴葉は聞き返す。 「ううん。ことちゃんは優しいなと思ってね」 「そんな事ないですよ。普通です!」 褒められて琴葉は焦る。 里深はフッと軽く息をつくと、顔を横に向けて外を眺めた。 「本当に好きになる相手ねー。でも今までも、そこまで熱い恋愛ってしたことなくてね」 何を正直に語ってるんだと思いながらも、里深は琴葉に素直になっていた。 「私はまともな恋愛もしてないので、お付き合いって事がよく分かりません」 里深は琴葉に顔を向ける。 「でも片思いだって立派な恋愛だよ。逆に俺より前向きだよ。ことちゃんが好きだった相手と結ばれなかったのは、次の恋愛のためだったかもしれない」 自分の恋愛を肯定して貰えて、琴葉は嬉しくなる。 次の恋愛のためだったのなら、それは里深にも言える事だと琴葉は思った。 「じゃあ黒部さんも、同じですね。この先、熱くなるほどの恋愛をするのかも」 琴葉の無邪気さは、里深の心を軽くする。 この先の自分の立場の、焦りや気負いを楽にしてくれる。 「……だったら良いな。本当の俺をちゃんと見てくれて、俺もその相手だけを見れる恋愛ってしてみたいかも」 ただ、そんな相手が現れるのかと里深は考える。 そんな風に思う自分が、琴葉にアドバイスできる立場でもないと思えてきた。 「それ、私も理想です。そんな恋愛できたら楽しいな。やっぱり黒部さんの話、聞けて良かった」 里深は素直すぎる琴葉にハッとする。 遊馬が羨ましいと思ってしまった。
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