楽しい旅行は危険がいっぱいのドキドキ展開

1/26
64人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ

楽しい旅行は危険がいっぱいのドキドキ展開

週明けの月曜日、遊馬はバイト先のベーカリーカフェに到着すると、直ぐに着替えて仕事に取り掛かった。 「遊馬君!遊馬君!ちょっと聞いてよ!」 興奮気味に敦美は遊馬に話し掛ける。 「何?」 「土曜日に遊馬君バイト休みだったじゃん。その時ね、前に来た女子2人組の背の小さい子がさ、遊馬君の先輩のイケメン王子と仲良さそうにここで会っててね!」 「え?」 興奮気味の敦美の話に遊馬は驚く。 里深が、イケメン王子と呼ばれだしたのも初めて知った。 「デートの待ち合わせしてたのかなー。もう、お客さんにもすっごく注目されてたよー。ここって、イケメン王子狙いの常連さんもいるし」 琴葉と里深が、ここでデートをしていたんだと遊馬はかなり驚く。 「なんか、どこに行くかの相談してて、2人で帰って行ったんだよ。やっぱり、絶対、デートの待ち合わせだったんだよ」 敦美が所々適当に遊馬に話す。 「って言うか、彼女、本当に小さいよねー。すっごく身長差あって。やっぱり大きい人って小さい女の子が好きなのかなー」 敦美はただ勝手にぼやき続けるが、それはもう遊馬の耳には届いていない。 それよりも、里深が琴葉を好きなんだと思い、その方が何故か気になってしまった。 「でねー」 「もう仕事しようよ」 敦美の話を遮って、遊馬は敦美から離れる。 「……そっか、黒部さんは」 遊馬は今までの事を思い出して呟いた。 里深が茉美を振ったのも、琴葉の事を好きになったからなんだと納得した。  花火大会の時、俺、余計な事したんだ。  茉美と帰らせた時、黒部さんが困った顔したのも、本当は生野さんと帰りたかったんだ。  俺、馬鹿だな。 琴葉と里深が付き合い始めたと知って、遊馬はなぜか胸がざわついて、気持ちが沈んでしまった。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!