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楽しい旅行は危険がいっぱいのドキドキ展開
週明けの月曜日、遊馬はバイト先のベーカリーカフェに到着すると、直ぐに着替えて仕事に取り掛かった。
「遊馬君!遊馬君!ちょっと聞いてよ!」
興奮気味に敦美は遊馬に話し掛ける。
「何?」
「土曜日に遊馬君バイト休みだったじゃん。その時ね、前に来た女子2人組の背の小さい子がさ、遊馬君の先輩のイケメン王子と仲良さそうにここで会っててね!」
「え?」
興奮気味の敦美の話に遊馬は驚く。
里深が、イケメン王子と呼ばれだしたのも初めて知った。
「デートの待ち合わせしてたのかなー。もう、お客さんにもすっごく注目されてたよー。ここって、イケメン王子狙いの常連さんもいるし」
琴葉と里深が、ここでデートをしていたんだと遊馬はかなり驚く。
「なんか、どこに行くかの相談してて、2人で帰って行ったんだよ。やっぱり、絶対、デートの待ち合わせだったんだよ」
敦美が所々適当に遊馬に話す。
「って言うか、彼女、本当に小さいよねー。すっごく身長差あって。やっぱり大きい人って小さい女の子が好きなのかなー」
敦美はただ勝手にぼやき続けるが、それはもう遊馬の耳には届いていない。
それよりも、里深が琴葉を好きなんだと思い、その方が何故か気になってしまった。
「でねー」
「もう仕事しようよ」
敦美の話を遮って、遊馬は敦美から離れる。
「……そっか、黒部さんは」
遊馬は今までの事を思い出して呟いた。
里深が茉美を振ったのも、琴葉の事を好きになったからなんだと納得した。
花火大会の時、俺、余計な事したんだ。
茉美と帰らせた時、黒部さんが困った顔したのも、本当は生野さんと帰りたかったんだ。
俺、馬鹿だな。
琴葉と里深が付き合い始めたと知って、遊馬はなぜか胸がざわついて、気持ちが沈んでしまった。
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