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『でも、どうしてそこまで、ことの事に協力してくれるんですか?』
確かに茉美にも、里深と一緒に協力すれば良いと言われたが、結衣から頼んだわけでもないのに、里深が琴葉と遊馬の仲を取り持ってくれるのが不思議だった。
『ことちゃんの遊馬に対する気持ちが、いじらしいなって思っちゃって。恋愛に不慣れな感じで、なんか放っておけないなって』
里深は琴葉と過ごした時間を思い出しながら語る。
確かにそれは結衣も否定はできない。
もう大人の琴葉が、恋愛では小学生レベルなのだから。
『それに、ことちゃんと結衣ちゃんと会うの、すごく楽しいよ。言葉は悪いけど、余計な気を遣わなくてすむし』
里深の本心だった。
琴葉と会うのが楽しいから、琴葉が遊馬を気に掛けているなら、協力したいとも思っている。
里深の気持ちを知って結衣はホッとした。
里深が琴葉を可愛がるのは、里深が琴葉に対して、多少は恋愛感情があるのかと気になっていた。今の琴葉に、イケメン2人との三角関係はハードルが高すぎる。
そして、里深にとって琴葉や自分は、恋愛を絡めずに気楽に付き合える相手だと知って、モテる男も大変なんだろうなと少しだけ同情した。
『分かりました!じゃあ、旅行の件、進めましょうよ』
里深の真意を知って、もう余計な事を考える必要はないと結衣も気楽になった。
『そうだね。みんなの都合を合わせようか』
『はい』
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