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「じゃあ、旅行どうする?木金なら良いんだっけ?」
空気を変えようと、旅行の話を里深は進める。
「あ、参加します。火曜日から金曜日の間で大丈夫ならですけど」
里深が琴葉との事を否定した事で、あっさりと遊馬は答えた。
「あれ?水曜もバイト入ってるよね?」
里深は予定を立てるために、スマホのカレンダーを見ながら尋ねる。
「9月からバイトのシフトが変わって土日月なんです」
「休みにバイト入れたの?」
遊馬が土曜だけでなく、日曜にもバイトを入れた事で里深は驚く。
本当にスイーツ馬鹿だと思った。
「休日は別にする事もないし。それに土日は2時迄しかバイトないんで」
「いやいや、彼女とか出来たらどうする?土日両方潰れたら、デートする暇も無いじゃない」
琴葉ともしこの先付き合うようになったら、大学も別だし、どうやって会うつもりかと里深は余計な心配をする。
「でも、今のところ彼女いないし、作る予定もないでしょうから」
作る予定もないと、キッパリ言い切る遊馬に里深は目が点になる。
遊馬の眼中に琴葉は全くないと分かった。
「そう。まあ、良いや。どうせ夏休みだし、平日に行くつもりだったし」
とりあえず、里深は遊馬の予定をスマホのメモに入れる。
「楽しみですね、旅行」
遊馬は本心でそう思った。
そして、琴葉と里深が付き合ってないと分かったのもホッとした。
「そうだな。俺も、みんなで旅行行くの、最初で最後かもしれないしね」
里深はもう4年生だし、確かにこれが最初で最後かもと遊馬も思った。
「めっちゃ楽しみましょうね」
遊馬は明るく言うが、里深は遊馬が琴葉に気がないのを知って、少しだけ複雑な気持ちになった。
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