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【遊馬がバイトのシフトが変わったって言うんで
2泊3日でどうかな?
その方がゆっくりできるし】
里深は結衣にLINをして予定を組む事にした。
【2泊3日ですか?
私は大丈夫だけど
ことにも確認してみます】
結衣はそう返事をすると、琴葉に電話を掛けた。
遊馬が行けるか決まってから話そうと思っていたので、旅行に誘ったら、きっと焦って拒否するんだろうと予想する。
『もしもし』
琴葉は結衣からの電話に何かと思った。
『やほ。今、大丈夫?』
『うん』
琴葉はお風呂から上がったところで、タオルで髪を拭いていた。
『あのね、黒部さんから、藤下君も誘ってみんなで旅行に行かないかって誘われたんだ』
旅行と聞いて琴葉はドキッとする。
『りょ、旅行?嘘ッ!無理無理ッ!』
結衣の予想通り、琴葉は焦っていた。
『なんで無理?』
『だって、旅行だよ?泊まりだよ?男の子と一緒なんて、修学旅行以外ないもん!しかもすっぴん見せたくないしッ!』
琴葉が言いたいことは、十分に結衣も分かってはいる。
『でもさ、藤下君と仲良くなる為にきっかけ欲しくない?今のままじゃ、あの鈍感天然の藤下君じゃ、ことの気持ちなんて全く伝わらないよ』
確かにと、琴葉も思った。
バイト先に行ったところで、結局会えなかったんだから。
『黒部さんも、ことと藤下君が付き合えたら良いなって思って計画してくれてるんだよ。そもそもすっぴん見られるのが恥ずかしいんじゃ、付き合うことなんて無理じゃん』
里深がとても気にかけていてくれると知って、琴葉は気を遣わせて申し訳なくなっていた。
本当に助けてもらってばかりだと反省する。
『……分かった。旅行に行くよ』
せっかく与えられたチャンスを、逃してはいけないと琴葉も自覚する。
『よし!平日だけど大丈夫?』
『大丈夫!』
まだ心配なことはあったが、里深と結衣の応援もあるんだと気を強く持った。
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