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失恋も恋のうち
朝は必ずやって来る。
楽しいことが有っても、悲しいことが有っても。
「……もう7時か」
ベッドの中でスマホを弄りながら、生野琴葉は泣き腫らした目の痛みを感じる。
「こと?琴葉?まだ起きないの?大学間に合う?」
部屋のドアの向こうから母親の声が聞こえて、琴葉は夏掛けを頭から被った。
琴葉は、桜花女子大学に通う20歳の大学3年生。
超名門のお嬢様大学ではないが、芸能人やモデルが卒業生に多くそこそこ有名な大学ではある。
「うーん。起きる。大丈夫」
琴葉の声を聞いて、母親はトントンと階段から降りて行った。
大学、2限からだし、それまで目を冷やさないと。
そう思ってもなかなか起きる気力はなく、枕に顔を埋めた。
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