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 なんでこの人と同じクラスなの。っていうか、絶対輝希を追いかけてこの高校に入学したんだ。なぜ岩本さんが輝希の進学先を知っていて私は直前まで知らなかったのか。他人の岩本さんが知っていて身内の私が知らなかったのが悔しいのではない。輝希に嫌がらせをされたことが悔しいのだ。  元々輝希とは馬が合わなかった。聴いてる音楽も違うし、好きな教科も違う。輝希が好きな食べ物は私の嫌いな食べ物だし、私の好きな食べ物は輝希の嫌いな食べ物だった。血が繋がっているとは思えない。イタズラが好きで口が悪くて、岩本さんが『輝希が欲しい』というのなら、いくらでも差し出せるくらいには嫌いな兄だった。  あんな奴のどこがいいわけ? いっそのこと輝希と岩本さんをくっつけて攻撃を終わらせたいとも思うが、あの性悪女を輝希に紹介するのはなんか嫌だ。私より先に恋人を作らせたくないとかじゃなくて、ただ、私をイジメてきた同級生の思い通りに輝希と付き合って欲しくないだけだ。私の傷付いた心を知らんぷりして「ざまぁみろ」と言われるに決まっている。そんなの許さない。まぁ輝希が岩本さんのことを好きになったなら別にいいけど。性悪女だってことは黙っておいてやろう。  大きくて深いため息を吐くと、黒い感情が口からこぼれ出て少しだけ落ち着いた。
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