手術前⑵

1/1
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

手術前⑵

 さて、今年四月十五日。  三年ぶりに訪れた市立病院は、すっかり様変わりしていました。  正面玄関は、一人ずつしか中に入れないようで、長蛇の列が出来ています。  一列に並んでいる来院者さんたち全員、当然ではありますが、不織布マスクを着けていて不思議な眺めでござる。ってまた! もうええわ、これで行く。  中に入ってすぐの所に、非接触自動検温器が置かれていて、通る際に37.0°以上の表示が出ると、少し離れた所に連行(?)され、体温計で測り直しィ!  発熱が認められた人は、その後どうなるのかわかりません……。  って。  多分、その日は帰されるだけだと思います。  三年前、診察して下さった担当医の先生が「僕、今年いっぱいで違う病院に移ります。新しく来られる先生は、とても優しい方ですし、ちゃんと引き継ぎはしておきますのでご心配なく」と、ウキウキした(何故?)ように仰っていたので、今回から主治医の先生は変わっているはず。  さて、この日は最初にレントゲン撮影をしたはずですが、あまり記憶にない。撮影機器がヤマタノオロチ(キングギドラでも可←古い)を連想する形状で、思わず「デカっ!」と呟いてしまったほど大きかったことだけは覚えています。  そして、今後主治医となる先生(ドクター)との面談ですが。  ドクターは淡々と、「これはもう手術ですね」と仰いました。覚悟はしていましたが、やはりそう言われてしまうとビビります。 「いつにしますか?」  ドクターはカレンダーを見ながら私に尋ねてくれますが、続けて、 「五月はもう十一日くらいしか空いてませんねえ」と仰るではないですか。  手術日は週二日、先生によって担当曜日が決まっており、私の主治医であるドクターの手術日は確か火・水だったような。いや、水・金だったか。忘れた。それは、この際どうでもいいや。 「六月は未だ全部空いてます」  とも言われましたが、間が空きすぎると気持ちが萎えそうだったので、 「五月十一日(水)でお願いします!」  と、返事してしまいました。  さて、一週間後の四月二十一日。この日から手術の準備に入ります。  朝っぱらから必死で(大げさ)自転車漕いで病院に行きました。あっ、自転車は漕げるのですよ、股関節が悪くとも。  自転車は、あとで家族に取りに来てもらいました。なぜなら、この日は様々な検査と自己血貯血(じこけつちょけつ)という大イベントがあるからで! (←もう、やけくそ)  自己血貯血とは、文字通り、手術前に自分の血を採って貯めておくこと。血液採取直後は自転車及び自動車運転は禁止なのです。  手術はメスを入れるわけですから、当然出血はあります。従って、事前に貯めておいた自分の血を輸血しながら手術するんですね。私の場合、骨盤も削る(!)ので、出血量はやや増えます。  書いてて怖い。貧血起こして倒れそうだ。  採取は、一回につき四百ml。それを二回。  これは体重によって違うようで、五十kg以下の人は、一回二百mlを四回に分けて取るとか何とか。  太っててすまん(誰に謝っているのか)  私は貧血の診断は下りませんでしたが、検査数値は貧血ギリギリのようです。過去に二回献血して、二回とも気分が悪くなって献血ルームでしばらく休ませてもらった経験あり。  今回は一度に四百mlも採取! 死んだらどうしよう(それはない)。  意外にも、この日は四百ml採取後、自転車で帰れたんじゃね? ってくらい全然平気でした。  自己血貯血を終えて、元気ハツラツ(死語)で帰宅する私の身に起こった奇妙な出来事を、次回はお話しさせてもらいましょう。  さらに!  翌週二回目の自己血貯血の際、私に訪れたプチ事件。  お楽しみに(⁉︎)
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!