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手術前⑶
自己血貯血を終えて、ルンルン(これまた死語)で帰路に着く私。
病院のタクシー乗り場にタクシーが二台ほど停まっていましたが、そこに乗合バスが到着。なんとなくそれに乗りたくなって、バスで帰ることにしましたが、それが失敗だった……。
バスはいわゆる循環線。二通りある運行経路の遠回りのほうだったので、ちょい時間かかるかな? と思いつつ乗ったら、とんでもない遠回り。家まで一番近い停留所まで一時間近くかかったのです。ちょっとした旅行。
その停留所の一つ前の停留所で、事件は起きた!
私以外の乗客が全員(と、その時は思った)降車して出発、と思いきや。すぐに停車。
私は家族とメッセージのやり取りに没頭していたのですが、突然、
「なんでさっき降りられなかったのですか?」
と言う声がして、顔を上げると、
「ボタン鳴ったから止まったんですけど」
運転手さんが仰るではないですか!
「は? 私は次で降りるんですけど」
すると、困惑した様子で「かなわんなあ」と呟いた運転手さんが立ち上がり、最後部まで歩いて行き、全ての座席をチェックし始めた。
誰もいないのを確認して、彼は再び運転席に戻りました。
えっ? まさか。
誰もいないのに、降車ボタンが押されたってコト⁉︎
「怖いんですけど!」
恐怖で、文字通り飛び上がる。あたふたと周囲を見回す。
「大丈夫です、私もおりますんで」
と、運転手さんは苦笑しています。
(ボタン押しといて、すっとぼけやがって、このヤロー)
と、運転手さんは疑っていらっしゃるかも。
ですが、絶対に私は押していない。
私の座っている席は、立ち上がらないと押せない位置に降車ボタンがあります。私はずっと座ったままスマホに没入していましたし、血を多量に抜いた後とはいえ、ボタン押したかわからないほど朦朧とはしていないはず。
ーーしかし。今こうして振り返ってみると、自信なくなってきたw
だから、事件等の証言って難しいのかあ。当事者の私ですら、二ヶ月も経つとあやふやなんだもんなあ。
もし、私がうっかり降車ボタン押していたのだとしたら、運転手さん、ごめんなさい!
押してなかったら、ゆ、幽◯‼︎
気分を変えて。
一週間後の四月二十八日。この日の予定は以下の通りです。
①CT検査
②In Body検査
③自己血貯血
④入退院についてレクチャー
今回は、股関節周辺をCTで撮影します。それを基に、私の体に適合する人工股関節を選ぶためです。ドクターの解説では、人工股関節は各人に応じたサイズがあり、手術前に個々人の設計図のようなものを作成して、ピッタリの人工股関節を選んで手術に臨むのだそうです。
In Body検査、これは身体組成を調べるものです。体の水分量や筋肉量を見るもので、一瞬で終わります。
それ以外に私は心電図、肺活量などの検査も受けました。肺活量検査は大変だったー! 普段、意外と十分に肺を使えていないと思いました。
胸部レントゲンも撮影。
自分でいうのもなんですが、とても綺麗でした、体の中身は。外見や心根は置いといて。
忘れてた、先週、尿検査と血液検査を受けていました。これは検査の基本中の基本ですもんね。
私は、もうずーっと健康診断を受けていなかったので、ドキドキものでした。成人病が気になるお年頃(?)ゆえ。
とりあえず、今回はどこも異常なしでしたが、不摂生の塊のような人間ですので、今後はわかりません。生活態度を改める気なし(←サイテー)。
そして、メーンイベント。自己血貯血です。
今回も採血室へGO! 順番待ちの患者さん多数。
採血室はベッドが三台あります。他にはリクライニングチェアが複数台あり、そちらは点滴を受ける人用です。
しばらく待ってから順番が来たので、私はカーテンで仕切られたベッドに。
前回と同じベテラン看護師さん(ドクターもしくは検査技師の方かもしれません)が、採血してくれました。
ベッドに横たわると、「どちらの腕にしましょう?」と尋ねられます。「前回は左でした」と言うと、「じゃあ今回は右にしますか?」ってことで、右腕から血液採取。
右だけでなく、左腕の肘の内側の静脈にも点滴用の針を刺されます。
毎回「ちょっとチクッとします。ごめんなさい」と、看護師さんは仰るのですが、全然痛くない。入院前後、検査や点滴で注射することが多かったのですが、こちらの病院の看護師さんは凄腕のプロの方ばかり。本当に痛くないんです。もちろん、チクっと一瞬の痛みはありますが、さほど痛くないし、ひきつれたりする感じもなく。上手すぎる!
しかし、順調だったのはここまで。
私の身に起きたプチ悲劇はまた次回!
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