手術前日

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手術前日

 病院の正面玄関まで、じいや(夫のことw)が荷物持ちで来てくれましたが、私が受付を済ませると、さっさと退場。帰ってしまいました。  私は、事務の方に教えられた入院病棟までエレベーターで上がり、いわゆるナースステーションに向かいます。私の到着を待っていて下さった担当看護師さんの案内で、私が入る四人部屋に。  部屋は、ベッド毎にカーテンで仕切られていて、同部屋の方々はどんな方たちか見えません。私は窓際のベッドでしたが、ちょうど私のベッドのすぐ近くにある共用洗面台に来られた方が挨拶して下さり、少しお話ししました。  その方は腕と膝の骨折で入院中でしたが、十日間ほどで退院(早い!)なので明日退院です、とのこと。  骨折の程度にもよるのでしょうが、今は入院期間が短いですねー。  私も入院期間は十七日間です。  入院期間=リハビリ期間ですので、手術した翌日からリハビリは開始されます。翌日はトイレに行く時は、看護師さんに車椅子で連れて行ってもらえますが、翌々日からは歩行器でひとりで歩かなくてはなりません。  昔は股関節の手術は、約二ヶ月の入院期間で、リハビリは後半一ヶ月ということが多かったようですが、現代の医療の常識として、「休むな、動け」ということらしい。  実際、動かないと筋肉が落ちて、動けなくなるんです。今まさに、そのことを痛感している私ですが、その話はまたいずれ。  さて、荷物を片付けていたら、主治医の先生から明日の手術の説明がある、とのことで、看護師さんが来られました。 「 ご家族は帰られたんですか?」と驚いた様子です。どうやら手術の説明は、家族も一緒に聞くものだったようで。  これは、同意書に家族記入欄があることと、本人以外も話を聞いてもらったほうがいいから? と思いました。看護師さんが院内電話で誰かと会話している様子から、私がそう推測しただけなんですけど。  主治医の先生から、ちょこちょこお話は伺っていましたし、現代はネットでいくらでも調べられますから、どういう手術をするかはわかっていましたが、その日はとても丁寧に四十分くらいかけて先生から説明がありました。  今後、私の体の一部となる人工股関節の実物見本も見せてもらいました。金属製の器具を手に取った時、何故か『新造人間キャシャーン(←古い)』というワードが頭に浮かんだ私でおます。  今回の手術、有り難いことに最新と言っていい手法で受けることを、その時に知りました。  以前は、お尻を二十センチ近く切る術式が主流でしたが、近年は腰の前面や側面を十センチほど切るやり方が増えて、今回は側面の筋肉と筋肉の間を切って、人工股関節を入れるとのこと。筋肉を切らないので回復も早く、二週間で退院出来るようになったそうです。  しかも、人工知能、いわゆるAIを補助として使っての手術です。腰に三箇所、針のような小さく細い器具を刺してモニターと繋くと、人工股関節を入れる角度や箇所をAIが示してくれるのだそう。凄すぎる医療技術!  先生から説明を受けてのち、夕方六時になって入院一日目の晩御飯。  太刀魚のソテーと煮物、汁物だったかな。すごく美味しかったです、おかわり欲しいくらい。もちろん完食して、ご機嫌。  そのあと浣腸(!)があり、23時就寝。  私がご機嫌だったのはそこまで。あっ、浣腸でご機嫌なわけない、それはヤバいやろ。浣腸は結構辛かったです。  しかし、これから始まる苦しみに比べると序の口だった(またまた大げさ)……。  明日はついに手術です。  不安はあるものの、主治医の先生によると、ほぼ100パー安心安全な手術、とのことですから、そこまで不安っていうことはない。  それに。  神様やご先祖様が見守っていてくださるはずだから。
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